工藤千紘 Chihiro Kudo
1989 青森県出身
2014 名古屋芸術大学大学院修了
現在 岐阜県を拠点に活動
<個展>
2019
アートギャラリー水無月、岐阜
「誰そ彼」ギャラリーヴァルール、愛知
2020
「Pure White」tagboat、東京
「影踏みをしなくなった日」ギャラリーヴァルール、愛知
2021
「Bittersweet」tagboat、東京
「In Dreams」The Waluso Gallery、イギリス・ロンドン
「A」ギャラリーヴァルール、愛知
「蹴っ飛ばせ!」GALERIE OVO、台湾・台北
2022
「触れて、揺れる」ギャラリーヴァルール、愛知
2023
「Emergence」tagboat、東京
今夏には銀座蔦屋書店での個展「Beyond the Excuses」も盛況のままに閉幕した工藤千紘。
既に国内外で高い評価を確立している彼女ですが、制作スタイルは毎展示新鮮なチャレンジに満ちています。
今回の「ART HAKATA by tagboat」に出展された作品の背景に関するインタビューをご紹介します。
1.今年4月に開催されtagboat Art FairではAIに相談しながら試行錯誤された展示構成が面白い試みでした。
今回展示される作品はどのようなコンセプトで制作されましたか?
ーー今回もAIを用いて資料を作成し、それを元に作品を制作しました。
ただ、前回よりも自分の解釈をより重視し、資料に忠実であることよりも、絵そのものとしての表現や自分の感情に従って描くことを大切にしました。
2.今回の作品群に流れるストーリーはどのようなものでしょうか?
ーー時間の流れと人間関係の変化、そしてその中で生まれる感情の微細な動きを表現しています。
過去の記憶と現在の自分を繋ぐようなテーマが中心になっていて、それが自然の景色や人物像を通じて描かれています。
見る人それぞれが、自分のストーリーと照らし合わせて感じ取れるような、余白のある表現を心がけています。
3.ストーリー上は登場人物が複数人いても、画面に描かれるのは基本一人が多いのはどうしてでしょうか?
ーー登場人物が一人であることが多いのは、鏡のように自分自身と向き合えるからです。
一人の人物を通じて、自分の内面や感情に向き合うことで、深い感覚を得られると思っています。
また、孤独や静寂の中でこそ生まれる感情や思考に焦点を当てたいという意図もあります。
4.毎回描き方に変化を感じますが今回の作品群は、例えば「ささやく」「話の続き」「私の旅」の 3点を見ると異なる世界線に存在するように思えるほどそれぞれ目の表現が個性的な魅力を持っています。このように描き方に変化をつけられたのはどうしてでしょうか?
ーーそれぞれの作品で描かれている人物が、異なる希望や未来を見ているように表現したかったからです。
目はその人が見つめるもの、感じているものを強く表す部分だと感じていて、作品ごとにテーマが異なるので、目の表現も変化させています。
目を通じて、その人物が見ている未来や希望を、観る側も感じ取れるようにしたいと思っています。
5.過去からこれまで、テーマやコンセプトに変化はありましたか?また逆に変わらない部分はありますか?
ーーテーマは少しずつ変わってきました。以前は外の世界や風景を描くことが多かったですが、
最近は自分自身の内面や心の変化を表現することが中心になっています。
ただ、変わらないのは感情や人間関係の微妙な揺らぎや変化を描くという点です。
感情の繊細な動きを描き続けることは、今後も変わらない私のテーマです。
6.制作でもっとも悩んだり苦労されるのはどんなところでしょうか?モチベーションになっているこ
とはなんでしょうか?
ーー一番苦労するのは、抽象的な感情をどうやって具体的に表現するかというところです。
また、キャンバス選びや下地作り、絵の具の油のバランス、湿度など自然の影響を受けることも多く、
想像していたものとは違った方向に作品が進んでいくこともあります。
でも、そうした予期しない展開が、新しい世界を見せてくれることが私の大きなモチベーションになっています。
7.最後に、これから挑戦されたいことについて教えてください。
ーーこれからは、色々な素材に触れ合いながら、新しい表現を模索していきたいと思っています。
世界観をさらに広げ、人々の心とどのように触れ合えるかを探りながら、自分の作品を通じてより深い共感や感動を与えられるように挑戦していきたいです。