9月20日(水)から博多阪急で始まる「ART HAKATA by tagboat」では
新登場の作家から現代アートの巨匠まで、タグボート一押しの作家が登場いたします。 会期までの特集では出展作家をPICK UPしてご紹介! どんな作品が展示されるのか、どうぞご期待ください。 |
工藤千紘 Chihiro Kudo
1989年 青森県出身。2014年 名古屋芸術大学大学院修了。現在、岐阜県を拠点に活動中。
損保ジャパン日本興亜美術館展やシェル美術賞で入選を遂げる実力者で、タグボートでは2020年に初個展を開催。
新作は発表次第すぐに完売してしまうほど不動の人気を誇り、昨今は海外アートフェアにも出品し一層注目を集めている。
CONCEPT
どこかで会ったことのあるような人物像を、記憶の中を辿るようにして描いていきました。描きながら色や形、言葉からさらに想像し、タッチを重ね描かれています。
また、並べて展示された人物たちが瞬きをし呼吸するように、人々の目線を散らしています。それぞれの髪の違いから、風の吹く様子や情景、絵と絵のささやかな変化の違いから、ささやかに生きている日々を感じ取ってもらえたらと思います。
出展作品(一部)
工藤千紘が描く人物は、皆曖昧な表情を浮かべ、喜怒哀楽を読み取ることはできません。
しかし画面からは不安と安らぎ、悲しみと喜びなど、内に秘めた相反する感情を感じることができます。
あふれ出す想いを表すかのように豊かに波打つ髪、そしてその隙間からのぞく、
言葉では名付けられな複雑な感情を持つ表情を、
心地好いストロークで柔らかく描き出します。
石川美奈子 Minako Ishikawa
1974年岩手県盛岡市生まれ。
アクリル板の上に自ら調合した絵の具をフリーハンドで線を引き、美しいグラデーションを生み出す。
フリーハンドとは思えない繊細な線の束は観る者を惹きつけ、代表的なレインボーのWavelengthsシリーズは常に完売。
CONCEPT
制作を始めた頃から空気をテーマに制作をしています。
現在においてそれは、この地球や宇宙、存在するすべてのものたちや今ここに生きていられることへの感謝という面が中心になっているように思われます。
日常に出会う不思議なことや、ささやかでも気になること、そのようなことに私なりにではありますが、一つ一つ向き合い、制作を通してそれらの確認、検証を行い、これらの作品が生まれています。
出展作品(一部)
石川美奈子の作品は見た目の美しさに注目が集まりがちですが、一方でユニークなコンセプトの光る作品もあります。
今回Wavelengthsシリーズとともに出展されるInvisible/Visibleシリーズは
「バッハの平均律クラヴィーア曲集」に着想した作品です。
平均律クラヴィーア曲集は24の全ての調による前奏曲とフーガで構成されています。
この作品は「前奏曲‐4声のフーガロ短調」を色の点と線によって表現したもの。
ぜひ音楽を聴きながら作品の世界に没入してください。
都築まゆ美 Mayumi Tsuzuki
武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科(インテリアデザイン専攻)卒業。
作品は鉛筆による細密なグラデーションでモノクロの版をシアン用、イエロー用、マゼンダ用というように色ごとに複数枚描き、
それを版にしてリソグラフで刷るという珍しい方法で作品を制作。ズレやかすれが独特な味わいが生んでいる。
近年は海外にも積極的に展示。
CONCEPT
人物、家族、家など身近で日常的な物事をモチーフにして、日常からこぼれ落ちる感情や記憶を描いています。
常に作品の根底にあるテーマは両義性です。「明るい柔らかな色彩とそこはかとない暗さ」や「日常と非日常」といった両義的なイメージを作品の中に共存させています。
それにより、あらゆるものが持っている相反する2つの側面の存在を認めながら、その狭間で上手くバランスをとって生きている私達の、日々の小さな緊張感のようなものを表現しています。
出展作品(一部)
どこか狂気的な雰囲気を孕む都築の作品は「覗いてはいけない」ものを覗くような緊張感があります。
その独特の世界観は観るものに没入感を与えて引き込む不思議な魅力を持っています。
今回は珍しくアクリル作品も登場。
一目見たら忘れられない、余韻を残す作品の魅力をお楽しみください。