現在、阪急メンズ東京のtagboatギャラリーにて、石川美奈子個展『Wavelength』を開催中(~6/27まで)です。
もうお越しくださったも方いらっしゃる(ありがとうございます!)と思いますが、
まだの方にも、既にご覧いただいた方にも、
作品をより深く楽しめる情報のご案内です。
石川美奈子は極細のアクリルで、美しいグラデーションを制作する作家です。
そのアイデアと緻密さ、人間離れした集中力はまさにグラデーションの魔術師。
写真やこれまでの個展の説明文では、お伝えしきれてない作品の魅力を、
より細かく、思い切った方法で、深めていきます。
『Another landscape』
何のことだと思いますか?
ヒントは、
副題の-Tkyo2011-2020-(など)
作品左端に縦に置かれたドット
1901-1920の4作品 と 2001-2020の4作品の 色の濃度
特に環境問題に関心が高い方はピンと来たかもしれません。
これは、
日の平均気温を色に置き換え、
1年365 (366)本線を並べた
作品です。
気象庁から公表されている
全国の観測地点から、
本作品は東京の平均気温データに基づいて作成しました。
パネル2枚つなげた、横一列が1年分です。
一番上は2020年なので、作品の線は2019年の途中までです。
透明の横棒が引いてある色が0度
黄色が15度位
気温が高くなるにつれて赤くなり、
一番上のピンクが35度です。
再び、8作品全体を見てみます。
上4枚の2001-2020
下4枚の1901-1920
を比較すると
明らかに上4枚の赤みが増しています。
そして、百年前は
1~2月頃に水色の線(零下の気温)もちらほら見えて、
東京もかなり寒かったんだなということがわかります。
プチネタですが、
よく見ると、左側のパネルに線が1本抜けている日が4年毎にあります。
4年、、、そうです、うるう年の2/29です。
芸が細かい!
こんなに美しい、
気候変動の表現、問題提起
ってあるのだな、と思いました。
こんな作品が、
環境省や
気象庁
などにかけてあったら、
なんかいい。
ただ美しいから、じっと作品を見るうちに、はっと気づく。
その問題の深刻さを、静かに、
より切実に感じるような気がします。
ぜひ、実物をご高覧ください。
有楽町駅前阪急メンズ東京7階にてお待ちしております。