2022年8月12日~9月1日まで阪急メンズ東京7Fで開催していた「CORE part9」。
お陰様で多くの方に足を運んでいただき幕を閉じましたが、出展していた北村環さんのインタビューが届きました!
| タグボート所属のきっかけ
北村環さんは2021年の「TAGBOAT AWARD」に入賞したのをきっかけに所属しました。
肉眼では何が描かれているのかはっきりと見えず、携帯のカメラをかざして見ると、絵が浮かび上がるという不思議な作品を生み出す北村環さん。「ギミック」をテーマに作品を制作しています。描く対象をデジタルで色分解し、色の網点(ドット)を手描きする事で、不揃いな色の集合体がぼやけた幻影のように見える仕掛けを絵に施しています。
現在の作品の描き方を続けながら、何年もの間新しい技法を見つけだそうとして試行錯誤していた北村さん。
ある時「新しい技法を何十年かけて見つけたところで、残りの人生に何年絵が描ける時間が残ってるんだろう」と思い、絶望的な気持ちになったそうです。そこである意味この描き方と心中するつもりで、現在の技法を貫くことを決意しました。丁度そのタイミングで「TAGBOAT AWARD」に入賞し、すごくラッキーだったそうです。
| 今回の展示作品について
「ナポレオン・ボナパルト」「メデューサ」は、有名な絵画の「顔」の部分だけをピックアップし、デジタル上でシンメトリーに合成したものをもとにして制作しています。
「ナポレオン・ボナパルト」 「メデューサ」
「神奈川沖浪裏」は元の浮世絵と比率を変えて制作しています。
もともとスクエアの作品にしたいと思っていたそうですが、左右を切って正方形にするのではなく、デジタル上で長辺を縮めて横に潰す手法で描いています。なんとなく左右を切るのは気持ち悪い感じがして、無理にでも絵のすべての要素が入るようにしたほうがしっくりきたとお話されていました。
いろいろ検証しながら制作できるのはデジタルのいいところですね!
| お客様とのコミュニケーション
今の作風で制作を始めた頃、あるアートイベントに参加し、北村さんご自身で接客をする機会があったそうです。その際どのように接客すればよいかわからず、戸惑ってしまったという北村さん。そこで、とにかくお客様に話しかける一言目を決めました。
「スマホのカメラをかざすと、作品が違って見えますよ」
すると、皆さんカメラを通して作品を観ていただけるようになり、作品の前に人だかりができ、多くの方に足を止めて楽しんでもらうことができました。この経験で、お客様とのコミュニケーションの重要さを感じたそうです。
| ご自身の作品について
北村さんの作品は、一目では何が描いてあるかわからないものもあります。ですが北村さんによると、人間の記憶の定着性はすごいため、一度何かが見えるようになるともうそれにしか見えなくなるそうです。
何が描いてあるかがわかるようになっても、自分の見え方と、他の誰かの見え方はもしかしたら全然違うかもしれない。
北村さんは今後も「見る」ことのおもしろさを追求していきます。
| 北村環メッセージ
「CORE part9」の展示は終了していますが、出展された作品はタグボートのオンラインからご覧いただけます!
北村環アーティストページ
▼https://www.tagboat.com/products/list.php?author_id=1006740
「CORE part9」展覧会HP
▼http://tagboat.co.jp/core-part9/
インタビュー:関口
写真撮影:鈴木
記事・校正:板橋、眞岸