◆現在開催中の足立篤史個展『archive』から展示作品のご紹介です。
(-8/1まで、有楽町駅前、阪急メンズ東京7階tagboatギャラリーにて)
ターッタラタッタッタッター、
タ、ターッタラタッタッタッター♪
いつ観てもわくわくどきどきの映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」から
タイムマシン、“紙の” デロリアン登場です。
“「バック・トゥ・ザ・フューチャー」は、1980年代を代表する大ヒット作でSFアドベンチャーの傑作。1985年にpartⅠ、1989年にPartⅡ、1990年にPartⅢ公開。
自動車型タイムマシンで1985年から1955年へ時空移動した高校生が、自分と同世代だったころの両親と出会うなどして騒動を巻き起こす。
監督はロバート・ゼメキス、製作総指揮にスティーヴン・スピルバーグ。マイケル・J・フォックス、クリストファー・ロイドが高校生と博士を熱演。スリルと興奮と笑いに満ちた展開に加え、名車デロリアンを改造したタイムマシンの鮮烈なデザインも必見。”
「デロリアン」とは、米国にあった自動車メーカーの名前ですが、デロリアン社が発売したのは「DMC-12」という1モデルだけのため、「DMC-12」がデロリアンと呼ばれています。1981年から1983年にかけて生産・販売された「DMC-12」は、車体の外部を無塗装ステンレスで覆い、ガルウィングドア(上に開くドア)を搭載するなど、その個性的な見た目から人気が上昇。しかし、販売不振に陥り、1983年に会社倒産。
その後、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場したことで、人気が再燃しました。
足立のデロリアンには、「”why not do it with some style!”」というタイトルが付けられています。これ、
主人公マーティが、ドク博士に
“Wait a minute, wait a minute, Doc, are you telling me that you built a time machine out of a deloreon?”
(ちょっ、ドク、デロリアンでタイムマシンを作っちまったのかい?)
と言った後のドクの粋なセリフから取られています。
“The way I see it, if you’re gonna build a time machine into a car, why not do it with some style!”
(わしに言わせりゃ、どうせタイムマシンを作るなら、かっこよくやらなきゃいかん!)
このタイトルとおり、足立の「デロリアン」、車体、タイヤ、中の座席、エンジン、モーターの配線まで、精緻に作られています。
しかも全て“紙”です。
紙で、丁度良い車体のカーブを作るのは大変で、何度も失敗したとのこと。
そうそう、ガルウィングドアまで再現しているんです。(実際に動きます!)
足立は、「記憶を記録する」ことをコンセプトに作品を制作しています。モチーフと同時代の新聞雑誌を収集し、読み込み、作品表面に記事を貼り付け。どの記事、どの文字を作品のどこに使うか計算されています。
足立のデロリアンは、表面に、1950年代のアメリカの雑誌ライフ誌の記事が使われています。映画の中でもタイムマシンで戻ったのは1955年でした。
そして、デロリアンはプルトニウムを燃料に、核分裂により発電し、タイムトラベル。
1950年代は東西冷戦真っただ中、アメリカ、ソ連による水爆実験が行われました。足立は、核に関連する記事を選び、デロリアンに配置しています。
ちなみに、2015年にドクが改造したデロリアンでは、家庭ごみを燃料に核融合により発電する装置が取り付けられています。
精緻でかっこいいのはもちろん、メッセージもたっぷりつまった、足立の「デロリアン」、ぜひ実物をご高覧ください!
「Back to the Future!」「In about thirty years.」
有楽町駅前阪急メンズ7階tagboatギャラリーにてお待ちしております。
*全ての作品、写真撮影OKです!