◆現在開催中の足立篤史個展『archive』から展示作品のご紹介です。
(-8/1まで、有楽町駅前、阪急メンズ東京7階tagboatギャラリーにて)
懐かしい!と思われた方、そうです、“紙でできた”「TETSUJIN」見参!です。
横山光輝原作、日本最古の巨大ロボット漫画・アニメ「鉄人28号」がモチーフ。
太平洋戦争末期、日本軍が危機打開のため「鉄人」を密かに開発していましたが、実戦で使われる前に日本は敗北。終戦から数年後、兵器として使われずに眠っていた「鉄人28号」が日本に姿を現すことになります。悪人との闘争の末、鉄人を操るためのリモコンを手に入れた少年探偵・金田正太郎が日本と世界の平和を守るため、鉄人28号を使って悪のロボットと戦う、というのが主なストーリーです。
この鉄人、「鉄腕アトム」が感情を持って、自力で動けるのに対し、リモコンで操作するため、操縦者の意思で行動が決まります。
実際に、リモコンが悪人の手に渡ったとき、鉄人は銀行や現金輸送車を襲ったり、まさに傍若無人状態。このことは「善いも悪いもリモコン次第~♪」と主題歌でも歌われています。
この画期的なアイデアは、後の乗り込み型ロボットアニメ「マジンガーZ」や「機動戦士ガンダム」に発展していきます。
さて、この足立の「TETSUJIN」、あまりに精巧なため、プラモデルに新聞を貼り付けたと思われる方もいらっしゃるのですが、こちら、土台から全て紙による作品です!
「記憶を記録する」ことをテーマに制作活動を行う足立は、モチーフと同時代の新聞を手に入れ、読み込み、時代背景を理解した上で、作品のどの部分にどの文字を配置するか綿密に計算しています。
また、横須賀で生まれ、毎年、自衛隊や米軍基地解放に通うなど、軍や戦闘機を身近に感じ育っています。
「TETSUJIN」では、原作の時代背景と同じ1945-1960年の新聞を作品表面に使用。そこに、戦争、原子力、原爆という文字が踊っています。
ここには、「善いも悪いもリモコン次第」の鉄人と同様に、原子力を善くも悪くもするのは、「人間」次第という、足立の強い想いが表れています。
また、胸の部分、「なんだ大人だって」という記事のタイトルが見えます。これには、世界を救うのは、金田正太郎のような、将来を担う子供なんだという、足立のメッセージが込められています。
紙で緻密に創られた、強くて、かっこよくて、メッセージ性の高い「TETSUJIN」。
ぜひ実物をご高覧ください!
有楽町駅前阪急メンズ7階tagboatギャラリーにてお待ちしております。
*全ての作品、写真撮影OKです!