東京のアートシーン、特にギャラリーが作品を販売する「アートフェア」は、毎年3月に国際フォーラムで開催されるアートフェア東京と、同時期に開催されるホテル型アートフェアのArt in Park Hotel の2つがある。
芸術の秋は春と比べると規模の大きなアートイベントはないのだが、表参道のSpiralでの「蒐集衆商」と、青参道アートフェアという2つのフェアが開催されていたので、行ってきた。
【蒐集衆商 (しゅうしゅうしゅうしょう)】
「蒐集する悦び」「コレクションの魅力」に焦点を当て、クリエイティブ業界屈指の”目利き”や、 現代アートギャラリーがセレクトしたアートフェアである。
場所は下着メーカーのワコールが運営している表参道のSpiralビルにある。
このアートフェアの前身は「ULTRA」という40歳以下の若手ディレクターを出展単位とするアートフェアであった。
ULTRAの最盛期は第三回目の2010年で、海外も含めて60ブースの若手ディレクターが出展して来場者も前後期合わせて1万名を超えるほどにぎわっていたものだ。
7年続いたULTRAは2016年に終了し、昨年からワコールアートセンターが主体となった新しいアートフェアとしてこの蒐集衆商が始まったのだ。
今年は前期が9ギャラリー、後期10ギャラリー計19ギャラリーと8名のセレクターによる出展と、ややこじんまりした印象だと言えよう。
中にはレアンドロ・エルリッヒなど現代アートとしてクオリティの高い作品が展示される中、今年は布や糸を使った作品が数多く見受けられた。
特に後期のギャラリーの展示は器などの工芸品が多く、現代アートに特化したアートフェアというより工芸と現代アートが混在する中で楽しめるアートイベントといえよう。
Bethan Laura Woodのファブリックを使った作品
前田エマの作品は、スープストック東京を経営する、遠山
レアンドロ・エルリッヒの作品は、アクリルに雲があるよ
上路市剛の立体作品は皮膚の感じまで本物そっくり
【青参道アートフェア】
青参道アートフェアは、アッシュペー・フランスというアパレル会社が主宰しており、自社店舗を中心とした表参道から一本入った一帯の雑貨店やファッションの店舗にアート作品を展示しているアートイベントである。
青山と表参道を一体化したアートフェアということで「青参道アートフェア」という名前が付けられたようだ。
アッシュペーが運営するhpgrp gallery が選んだアーティストが主体となって周囲の数店舗で展示がされていた。
表参道の街の中、オリエンテーリングをするように店舗をまわって作品鑑賞をするという独特のアートフェアなので、すこし違和感を感じるかたもいるかもしれない。
ファッションなどのショッピングを楽しみながらアートも同時に楽しみたい方にはベストだが、アートを買うという視点でみるともう一工夫をしてほしいとと感じた。
上記のアートフェアは今週末(~10月28日)まで開催している。
蒐集衆商ウェブサイト
http://www.spiral.co.jp/takeart/index.html
青参道アートフェア
http://hpgrpgallery.com/aosandoartfair
青参道アートフェアの橋本仁の立体。木を削って作っている
木之上勝のペインティングは、Jamin Puechの店舗にて