エンライトメントにてアートディレクター、
中島友太 Yuta Nakajima |
ー絵を描き始めたのはいつ頃ですか?きっかけはありましたか?
小学生の頃、オリジナルの漫画「ハナクソさんの冒険」を描いていてクラスの友達に見せていました。
ある時校庭の花壇の絵を描く美術の授業があって、みんな描き終えて先生に提出するんですけど、その先生が変に厳しい人で「全員描き直し!!」って言い出したんです。みんなぶつぶつ文句を言いながらもう一度校庭に出て行くんですけど、先生がその時「中島くんの絵はちゃんと描けてる!」と言って僕だけ描き直さなくていいってなったんです。
そのぐらいから勝手に自分の中で自信がついてきたのを覚えています。…でも美術の通信簿は全然良くなかったので、あの時の先生の行動は謎のままですね。
ーアーティストを目指そうと思ったのはいつ頃ですか?きっかけは何ですか?
もともとグラフィックデザイナーで会社員としてバタバタ過ごしていて、気付いたら6年くらいたっていて、デザイナーとしてもそれなりに自分で色々できるようになっていたんですが、何かこのままでいいのかみたいな気持ちに駆られて、ちょくちょく仕事以外の自分の作品を作り出すようになって、そこからヒロ杉山率いるアーティスト集団のエンライトメントに所属し、自分のやりたい事はこれだ!!となり、アーティストとして活動するようになりました。
ー作風が確立するまでの経緯を教えてください。
作風はまだ確立していません。色んな手法や表現を試していっているのが今は楽しいです。
ー作品を発表し始めたのは何時頃ですか?発表するまでにどういった経緯がありましたか?
3、4年前くらいにデジタルの作品や紙に描いたドローイング、自分で撮り溜めていた写真などでZINEを作って展示会に出品したりしていました。自分の生み出したものが人の手に直接わたる事に感動し、そこからだんだんキャンバスにコラージュや絵を描くようになりました。キャンバスの作品を発表し始めたのは2年前くらいからです。ZINEは今でも定期的に制作していて、その時の自分のコンディションによって作るものが変わっていくので自分の今の状況を客観的に測るパラメーターのような存在になっています。今まで12冊くらい作っています。
ーアーティストステートメントについて語ってください。
撮影した写真や古本のスキャン、ネットやSNSで集めた画像などをデジタル上でコラージュし、ペインティングに落とし込んでいます。初めはなぜ自分がこの工程で絵を描いているのか特に何も考えていなくて、アーティストステートメントも「再構成のループの中で徐々に過去、現在、未来が同時に並行して進行していることに気づく〜」とか「具体と抽象のイメージとの摩擦で生じる時空の歪みが〜」とか書いていたのですが、最近は毎日膨大な情報やビジュアルを目にしている中でそれらが何事もなかったかのように次の日には忘れられまた新しい情報がやってくるというループからなんとか抜け出したいという抵抗なんじゃないかなと思っています。たぶん今後もこれは変わっていきます。
デジタルコラージュのラフ画
完成作品「Mentor」
ー作品はどうやって作っていますか?技法について教えてください。
パソコンでデジタルコラージュし作品のラフ絵のようなものを作ってからキャンバスに絵を描いています。使う絵の具はアクリル絵の具が多いです、最近油絵も特訓中!
ー作品制作で困難な点や苦労する点を教えてください。
デジタルコラージュの下絵を再現することと、キャンバスに描いている時に起こる偶然的な事の両方のちょうどいいバランスをとるのが難しいですが、同時に楽しいポイントでもあります。でも例えどっちかに偏りすぎたとしても絵を描いているのには変わりないので特に困らないです。
ー今後の制作において挑戦したいことや意識していきたいことを教えてください。
立体の作品は作りたいです、3Dデータバージョンのデジタルコラージュの下絵を作ってそれを立体物に落とし込むみたいな事をしてみたいです。
中島友太 Yuta Nakajima |
1993年生まれ、大阪府吹田市出身。東京在住。
ヒロ杉山率いるエンライトメント所属のアーティスト、アートディレクター、グラフィックデザイナー。
日常生活での出来事や現象を撮影した写真、今まで収集してきたネットやSNS上の画像、
スクリーンショット、漫画、古本の切り抜きなどをまとめたフォルダの中から、
琴線に触れたオブジェクトをセレクトし、デジタル上でコラージュ。
自身のフィルターを通しインプットとアウトプットを繰り返し、ペインティングや
再コラージュをしてキャンバスに落としこんでいる。
そんな構成→解体→再構成のループの中で徐々に過去→現在→未来が同時に
並行して進行していることに気づく。
そこにできた具体と抽象のイメージとの摩擦で生じる時空の歪みが、
作品の構成に多大な影響を及ぼしている。
【主な展示】
2018年 「Here is ZINE Tokyo 16」 トーキョー カルチャート by ビームス(東京)
2018年 「HILLS ZINE MARKET 2018」 六本木ヒルズ A/Dギャラリー(東京)
2019年 「HILLS ZINE MARKET 2019」 六本木ヒルズ A/Dギャラリー(東京)
2020年 「HILLS ZINE MARKET 2020」 六本木ヒルズ A/Dギャラリー(東京)
2020年 「WAVE 2020」 3331ArtsChiyoda(東京)
2021年 「HILLS ZINE MARKET 2021」 六本木ヒルズ A/Dギャラリー(東京)
2021年 「WAVE TOKYO 2021」 3331ArtsChiyoda(東京)
2021年 「UNKNONWN ASIA 2021」 グランフロント大阪(大阪)
【主な受賞歴】
2021年 「UNKNONWN ASIA 2021」 徳光健治審査員賞