平井豊果は映像やグラフィック制作などの企業勤務を経て、2013年からアーティストとして活動をはじめました。
数々のイラストを手掛ける一方で、現在に至るまで毎日作品を制作しています。
尽きることのないアイデアを次々と描き出してきた作家の、アーティストを目指すまでの道のりやこれからの目標についてお伺いしました。
平井豊果 Yutaka Hirai |
ー絵を描き始めたのはいつ頃ですか?きっかけはありましたか?
幼少期から1人黙々と絵を描いていました。
幼稚園の頃はとにかく電車とガンダム、小学校の頃は「キン肉マン」や「北斗の拳」の絵をひたすら模写したり、オリジナル漫画を描いていて、この頃は漠然と漫画家になりたいと思っていた気がします。
ーアーティストを目指そうと思ったのはいつ頃ですか?きっかけはなんですか?
高校生の頃は、ラッセンがイケてると思っていました。
その頃、兄が持っていたイラストレーション誌で特集されてた、竹屋すごろくというイラストレーターのヘタうまな絵を見かけたんです。
何も知りもしないで「こんなの俺でも描ける」と言ったら、お前じゃ絶対描けないと言われました。1つのことを追求したい性格からか、この絵の何が良いのか知りたくなったのが始まりでした。
しかし元々ゲームクリエイターになりたかったのでクリエイティブな仕事を転々としました。
仕事内容は楽しかったものの、組織に属していることが苦痛な性格で、一般企業に勤めることを諦めた後に目指したのがこの道でした。
ー作風が確立するまでの経緯を教えてください。
90年代後半に、たまたまMoMAで見たジャスパージョーンズ展で現代美術に興味を持つようになりました。
しかし当時は現代美術の情報があまりなく、東京都現代美術館やワタリウム美術館、VOCA展やGEISAIに足を運んで見てました。
天邪鬼な自分は、周りがよく分からないと言う物であればあるほど惹かれていきました。
00年代前半は五木田智央さんや伊藤桂司さんなどによる、イラストなのかアートなのかデザインなのか曖昧なジャンルの物に影響を受け、 それらを真似たものを描いたりしてました。
音楽のPVからも影響を受けました。宇宙戦艦ヤマトの映像が使われたダフトパンクのPV「One More Time」が持つ違和感なども刺激的でしたし、高木正勝さんの様なアート色の強い映像も好きでした。
それらを独自のフィルターを通しミックスしながら、2013年から毎日描き始め、今に至ります。
ー作品を発表し始めたのはいつ頃ですか?発表するまでにどういった経緯がありましたか?
2010年頃です。
一般企業に勤めることを諦め、今後どうしようと途方に暮れてた頃、デザインやイラスト、現代美術などコンペに出しまくろうと思い、兎に角出し続けました。
そのとき、大きなイベントのコンペで採用されたのがきっかけだったと思います。
ーアーティストステートメントについて語ってください。
私の場合、コンセプト的なものは曖昧です。
言うなれば、生きづらさ、不安感、権力への不信感、が大きなテーマです。
兎に角脳が処理しきれないほどの視覚的なインプット量の多さが生きづらさでもあるので、 それらを創作に活かして生きてい行ければ良いなと思って描いてます。
ー作品はどうやって作っていますか?技法について教えてください。
青をベースにした滲んだシリーズを作るときは、画像共有アプリのピンタレストにインスピレーションを受けた画像を保存しておき、それらモチーフへのオマージュとして、下描き無しで即興で滲ませながらダイレクトにアクリルで描いてます。
ドロッとした質感のシリーズは、同じくピンタレストを見てイメージを膨らませ、色々なメディウムとアクリルを混ぜて垂らすように描いてます。
ー作品制作で困難な点や苦労する点を教えてください。
モチーフをレイアウトするように描く場合は、「本当にこの位置に配置するのがベストなのか」を決める時が苦労します。
メディウムを使うシリーズの時は、先ず画材を混ぜるところから大変で、描いてる時も徐々に絵具が流れて変化していってしまうので、修正しながら描くのが大変です。
また最後に、絵具が渇かないうちにクシなどで線を引くときに失敗してしまうと、全てが台無しになってしまうので注意が必要ですね。
ー今後の制作において挑戦したいことや意識していきたいことを教えてください。
大きな作品を作ること。アナログに限らず3Dデジタル作品も作りたいです。
平井豊果 Yutaka Hirai |
主な展覧会
2010
江ノ電沿線10galleryT
2011
横浜トリエンナーレ連帯プログラム黄金町バザール GALA House
2015
730days COBAKABA
2017
個展「真夜中の肖像」ondo STAY&EXHIBITION
蒐集衆商 青山スパイラルガーデン セレクター遠山正道推薦
2018
個展「真夜中の亡国」無印良品 MUJI新宿 Café&Meal MUJI新宿
個展原点回帰 TETOKA
cat power ギャラリールモンド
mement mori展 ギャラリールモンド
コンテンポラリーシック 阪急梅田
イラストレーションウエーブvol.1
主な公募
2017
イラストレーションノート入選
TIS公募 大賞
2018
ペーターズギャラリーコンペティション大久保朋子賞
主な仕事
2002
Soup Stock Tokyoポスター
2017
津田大介メルマガメディアの現場280〜289表紙
2018
マリアーナ・エンリケス わたしたちが火の中で失くしたもの装丁
ZINE 2015
2017
here is ZINE TOKYO CULTUART by BEAMS 2018 プリクラ展 TETOKA