副賞として中国・上海での展示も行い、大きな飛躍の機会を獲得した清水さんに応募のきっかけや参加した感想、コツなどを伺いました。
タグボートアワードに応募したきっかけ
2018年に入ってからずっと、自分が描いてきた作品の傾向に行き詰まりを感じ、それまでとは違う別の方向性を模索して、描いてはやめ、描いてはやめ、を繰り返していたのですが、年末になってちょうど新しい手応えを感じ始めたときに募集のお知らせを知りました。
悶々と悩んでいた時期が長かったこともあって第3者の目にはどう写るんだろうという不安もありましたが、自分の作った成果をとにかく見てほしいという思いが勝り、応募に至りました。
また、今までは見た目の雰囲気を重視した作品を作っていたのですが、今回は制作の際のコンセプトが比較的はっきりしていたため、作品1点のみという応募条件でもアピールしやすいのではないか、という考えもありました。
上海で出展してみた感想
初めての上海はとにかく衝撃的でした。以前行ったことのある台湾の穏やかさとは全く違う、押し出しが強く、タフで貪欲で激情的。
たった2日しか滞在出来ませんでしたが、あのノリを楽しいと感じるにはあと10日は必要かもしれません。
展示初日に作品を買って下さった女性は、自分が近く起業することや、将来の不安と希望などを滔々と語り、最後には涙ぐんでさえいました。(私の顔が彼女の父親に似ていてとても懐かしい、ということまで教えてくれました)
初対面の相手にも遠慮せず、感情を露わにする人達と短期間とはいえ何人も会えたことで、今後この国を相手にする上での覚悟というか“姿勢”みたいなものを意識するようになりました。
タグボートアワードに求められること
ただ受賞して終わり、ではなくその後に海外で展示出来ることが大きいと思います。むしろ受賞後に本番が待っているという感じ。
このような機会を用意している公募展はあまり多くありません。
なので、世界に出て行けるきっかけのひとつとして今後も存在していってほしいです。
タグボートアワードに応募を検討している人へ
タグボートアワードでは、2次審査のグループ展において審査員の方々と実際に話すことが出来ます。
つまりプレゼンの能力が必要になってくる。自分がなぜこの手法で表現しているのか、この作品を作らなければいけなかった理由は何か。
短くわかりやすく説明する準備が必要です。(基本的に審査員の方々は実に親身になってこちらの話を聞いてくれます)
自分の考えや制作物を客観的に解釈してアピールする、いわゆる広報の視点は、養っておいて損はないと思います。