タグボート取り扱いアーティストの皆さんに、インタビューに答えていただきました。
アーティストになったきっかけ、作品制作方法、作品への想いなど、普段は聞けないようなお話が満載です。
毎週更新していきます。ぜひご覧ください!
小さいころから絵を描くこと・ものづくりが好きでしたか?
嫌いではなかったのですが、好きでもなかった気がします。
ただ、「何かをつくる」という行為に対しては、トライアル・アンド・エラーを繰り返しながら、作業過程や出来上がったものに対して、達成とか満足、楽しいという感情が得られて心地よかった記憶はあります。
おそらく「物」という存在に興味があったからだと思います。どうやってできているのだろう。どうしたらこんな形になるのだろう。と、それを知るために手を動かしたり考えたりしていたからだと思います。
ポートフォリオサイトより
「集合」をテーマに作品を制作。自分なりの表現方法を探るため、平面、立体、インスタレーション など多面でアプローチを行っていた。
美術の道に進むことになったきっかけは?
高校2年生の時に読んでいだティーンズ向け雑誌です。そこでファッション系の職業を特集していまして、カラーコーディネーターという職業に目が止まりました。
この仕事をするには美大か美術系の学科がある大学、もしくは短大を受験するのがよいかと思い、美術部に入部し、美術系予備校に通って、図書館などで情報を集めていました。
だんだんと、美術のことが身近になってくると、もっと関わってきたいなと考えるようになり、高校3年の頃には、カラーコーディネーターになりたい。という思いが、美大でとにかく美術を勉強したい。に変わっていました。
左:図録コレクション(一部)ジャンルは問わず気になったら購入している
右:図録を収納しているボックスには、レコードやCDのコーナーもある。音楽も作品を生み出す時の大切な存在になっている。
初めて作品を発表したのはいつ、どんなときですか?
学生の時です。
銀座の画廊さんが主催していた公募展に応募したら入選しまして、それをきっかけにオーナーさんからお声がけいただき、個展を開きました。
搬入、搬出、費用管理、DM作成と何もかもが初めてだったので大変だったのを覚えています。
個展、グループ展の他に公募展にも参加
SICFのエントリーシート(ともに参加決定のプラン)
左:SICF14 右SICF:11
制作する日はどのようなスケジュールで進めていますか?
グループ展や個展といった開催日が決まっている場合は、逆算してスケジュールを立てています。
期限がなくて作品を増やしていく場合は、気分次第になるのことが多いので、スケジュールはほとんと立てません。また、不精な性格なところがあるので、ギリギリにならないと動かないことが多いです。
制作の風景
アトリエの風景
作品の制作手順や方法などを教えてください。
まずは、紙に言葉、イラスト、図面、スケジュールなど、何でもいいので関連することを書き溜めていきます。それを何度も書き直してまとめていきます。
まとめた後も、しばらくは放置して、客観的に考えることをします。
加えて、試作をいくつかつくることがあります。
なので、実際に着手するまでには時間をかけることが多いです。
メモの一部
現在、力を入れて取り組んでいること
「TYPE」と「GROW」シリーズをもっと深く探ることです。
「TYPE」シリーズ
・1つの漢字を集合させて、その漢字の意味をもつ他の言葉(例:愛→LOVE、望→HOPE)にしたものを、複数枚のアクリルの板にプリントした作品。
・1つの漢字は、書体や表現を変えること(色味、印刷の加減)で、好み・考え・性格など⼈によって異なる「個性」を表現している。
・1つの漢字、それを集合させたことによってできる言葉の意味は普遍的であるが、個々の意識は十人十色であり、一つの価値に縛られていない現実があること伝えたいと考えている。
・アクリルの板を重ねることで奥行きを生み出し、より深い個々の意識を表現している。
「LOVE(Type 02)」2019年
「HOPE(Type 01)」2019年
「GROW」シリーズ
・巻尺やメモリを印刷した紙(もしくはビニール状のもの)を使い、野菜や成長をイメージするような造形を制作している。
・巻尺は、「計る」という行為によって、そのものの「個性」や「魅力」とは別に「視覚的に何かを判断する」ことができる存在であるため、慣れ親しんだ有機的な稜線やシルエットも、これを用いて作成することで普段とは異なる視点で存在価値を感じられるのではないかと考えている。
GROWシリーズ
左:2013〜2014年当たりの作品(一部はSICF14に出展)
右:「GROW(Cone)」2019年
将来の夢、みんなに言いたいこと
美術はもっと身近であるべきで、人を豊にしてくれる存在であるということを感じて欲しいです。
「素敵だな」「面白いな」「あまり好きじゃない」「怖い」など、自分の内面を作品をきっかけに知ることができるからです。有名な作家だから、高額な金額だから、価値があるからという理由で美術に触れているだけはもったいないと思っています。
将来の夢は、グローバルに作品を発表してくことです。
また、企業や団体と組んで、パブリックスペースに大きな作品を作ってみたいなと思っています。
ニューヨークで行われたグループ展にて2019年
1977年⽣まれ、埼⽟県出⾝。武蔵野美術⼤学短期⼤学部を卒業後、Webデザイナーとして働き始めるが、同時に銀座を拠点として作家活動をスタートさせる。
2009年からは海外での発表をスタートし、グループ展やアートフェアに参加する。
作品は「集合」をテーマにしており、立体、平面などで表現することが多い。
https://www.instagram.com/thee_natsuyo_art/
https://www.facebook.com/theenatsuyo
Site