タグボート取り扱いアーティストの皆さんに、インタビューに答えていただきました。
アーティストになったきっかけ、作品制作方法、作品への想いなど、普段は聞けないようなお話が満載です。
毎週更新していきます。ぜひご覧ください!
小さいころから絵を描くのが好きでしたか?
好きでした。
小さい頃は、手のひらより小さいチラシの裏紙で作った自作絵本とかよく描いてました。エビフライと友達になる話とか(笑)今でも懐かしい自由帳が残っています。
美術の道に進むことになったきっかけは?
持病の関係で長期入院していた時期があって、絵を描いていると現実を忘れられたんです。楽しいことも楽しくないことも、やりたいけどやれないことも、全て絵が叶えてくれて。そこからずっと絵を描いていたいと自然と思いました。
初めて作品を発表したのはいつ、どんなときですか?
インターネットの広告に載ってたアジアのデザインアートコンペの絵画部門です。深夜テンションで下手くそな英文でエントリーをして数ヶ月後に「Congratulations!」とメールが来た時は腰を抜かしました。母に自慢したんですけど、私も母も現実味がなさ過ぎて受賞式に行かなかったんですよ。ちょっと後悔していますが、認められたことが嬉しかったです。
制作する日はどのようなスケジュールで進めていますか?
現在は大学に通っているので、大学の空き時間や放課後に隙あれば制作しています。音楽をテーマに描いているので、ライブ会場に赴いたり、好きな曲を聴き込んだり、その中でハマるものがあれば描くというスタイルです。欲望のまま生きているので、深夜ライブに行って描いたり、帰り道のライブパフォーマーの曲を最後まで聴いてみたり好きな時に好きなことをという感じです。
作品の制作手順や方法などを教えてください。
作品は基本的にデジタルペイントを用いて制作しています。液晶タブレットを持ち運び指や専用のペンで画面上に描いています。できたものはキャンバスに出力して、データを消し、一点ものとして発表しています。
制作においてスピード狂な部分もあるので感動したものは感動が昂っているうちにその場で描き切ります。
現在、力を入れて取り組んでいること
コンセプトや意識や美術史など制作の根底にあるものをもう一度向き合っています。知識を増やしたり自己との対峙を経て、もっと気持ち良い作品を作り続けたいです。
将来の夢、みんなに言いたいこと
幼稚園の時の夢が世界征服でした。言葉はきっと悪いことなのだと思いますが、わたしが感動して全力を注いだアートに世界中が夢中になって沸いたらゾクゾクしてすごく気持ちいい瞬間が味わえるんだと思うんです。それってお互いにすごくエキサイティングでたまらないでしょうね。その瞬間が来るまで、ずっと描き続けます。
京都教育大学在学中
コンセプト
10代前半の半身麻痺入院がきっかけで自身の今のテーマにもなっている”音楽”の世界にのめり込んだ。
CDプレイヤーにイヤホンを刺して音量を上げると、身体が動かないことも毎日が鬱陶しいことも忘れられる。音楽が脳に体に染み渡り宇宙空間にぶっ込まれた感覚、それこそある種の快楽ともいえよう。
麻痺が取れ大学に進学するも音楽熱が冷めることはなく、気が付いたら楽器屋で真っ白のギターを買っていた。進学した大学は京都。縁なのか、古き良き音楽の街だった。ズラっと並ぶライブハウスに音楽喫茶。ドームやホールに行かずとも生の音楽が堪能できるそれはもはや天国そのもの。私はライブハウスで唐突に絵を描き始めた。私は唯一絵が描けた。手法はタブレットを使ったデジタルペイント。デジタルは良い、音楽の渦にいる瞬間の生々しい私のセンスが瞬時に投影される。私の制作は時間が命だ、描ききるのに2.3日1週間と時間をかければあの感動は朽ち果てる。限られた色で少しでも違うニュアンスで表現するなんて死んでいるのも同然だ。これだという線が引ける、理想の色を選択して一気に描き切る。
初めは衝動的な感情に突き動かされ描き始めた快楽的な音楽の作品。これを人に届けたくなった。溢れる音の渦の中で無我夢中になって描いた絵、これを見たら、その時の情景が伝播して誰かにエネルギーを与えられるのではないか。また、私自身を理解してくれるのではないかと思った。