ふるやみか Mika Furuya
1988 大阪府生まれ
2019 武蔵野美術大学通信教育課程卒業
自身の性自認の悩みによる経験から「SOTAI」というヒトガタの記号を生み出し、
社会のさまざまな枠組みの中で記号化されてしまう人を表現すると同時に、
すべての人の概念を象徴するものとして作品に昇華している。
人とコミュニティ・社会の多様性の先にあるすべての共生をテーマとしている。
作品を作り始めたのは何歳頃ですか?きっかけはありましたか?
大学在学中は課題制作のみで、卒業後にUNKWON ASIA2019に出て自分の作品を観てもらおうと思い立ったことがきっかけで作品作りを始めました。大学に入学する前は絵を描いておらず、中学時代にwindowsのペイントソフトで画像を作ったり、携帯電話で16和音の着メロを作ったりなど何かしらの表現という行為はしていました。
アーティストを志したきっかけは何でしたか?
自分の作品を見て何かが変わるきっかけになった方や、作品を購入してくださる方と出会う中で、活動を続けることは間違いではないと感じていくようになりました。そうした出会いがアーティストとして活動を続ける原動力になっています。あと奇妙なことに、何回も自分の意思とは関係なく絵を描ける環境に身を寄せることになったことがあり、勝手に使命感を感じてやっています。
作風が確立するまでの経緯を教えてください。
卒業制作を作るにあたって私は自分の存在を深く追求し、行き着いたのが哲学書でした。日本では私が自認しているセクシュアリティは社会的には存在していないので、私は常に自分の存在を自分自身で説明するしか自分を証明できません。外出先ではトイレに行くたびに性別を選択させられるような気になっていたことがあり、そのトイレのマークには私は存在していないと感じていました。
卒業制作で、○や△の図形と、マスキングテープを用いた社会の規律を意味する線で構成した作品を発表し、社会的な枠組みを乗り越え混ざり合うヒトを表現しました。
その後、UNKWON ASIAで自分のセクシュアリティが歳を重ねるごとに変化していく年表のような作品を発表し、レビュアー賞の副賞での初個展「people」のロゴにヒトガタをデザインしました。そのロゴを性別という分け方だけでなくすべての人の概念のような記号という意味で「SOTAI」と名付け、シルクスクリーンなどを使って作品に取り入れるようになり、大学時代の課題制作でよく描いていた抽象的なドローイングと共に画面上で構成してくようになりました。
一時的に書を学んだ経験から、書の呼吸を意識するようになり、自然物や感情のような流れるような筆致とマステを用いた空間の構成方法に加え、最近では塗り重ねた層を削ったり絵の具を積層することで、積み重なる人や社会の歴史を表現するスタイルになっています。
卒業制作 F100号「こたい」
作品を発表し始めたのは何歳頃ですか?発表するまでにどういった経緯がありましたか?
UNKWON ASIA 2019で初めてふるやみかとして作品を発表しました。もともと教員になりたくて学校に入学したのですが、教育実習を経てそのまま教員になるのではなく、一度自分の作品を世に出して反応を見たかったからです。大勢の方に観ていただきたかったのでいきなりアートフェアに出展しましたが、そのおかげで色々な方と出会い今の私が確立されていきました。
UNKNOWN ASIA 2019「#chronology up to 30 years old」
アーティストステートメントについて語ってください。
私は、自分の性自認の悩みによる経験から「SOTAI」というヒトガタの記号をつくり、社会のさまざまな枠組みの中で記号化されてしまう人を表現すると同時に、すべての人の概念を象徴するものとして作品に昇華しています。
人は、今まで生きてきた経験が積み重なり自分というものが形成されていき、その時々の立場や年齢、環境によって新しい自分が蓄積されていきます。そのように自分や世の中、自然物が変化していくことを知ることは、自分自身と向き合うことや他者を知ることにも繋がると思っています。それこそが多様性の先にあるすべての共生に通じると考え、マイノリティもマジョリティも関係なく暮らしやすい地球になるのではと思っています。
作品はどうやって作っていますか?技法について教えてください。
アクリル絵の具のビビッドな色と中間色を使って、物事の存在や生命、多様な心情を表現し、書の呼吸を取り入れた流動的な筆致は、積み重ねたり削ったりして変わり続ける世を描いています。その筆致の上にシルクスクリーンをしています。
作品制作で困難な点や苦労する点を教えてください。
まず表現したいコンセプトやテーマを先に思いつくので、毎回制作する形態が違うのが難しいです。自分がやったことがない表現方法でもテーマに即していれば挑戦するので、時間がかかったり金銭面で苦労することが多いです。
今後の制作において挑戦したいことや意識していきたいことを教えてください。
今まで大阪での展示が多かったので、国内外問わず作品を観ていだだける機会を増やしたいです。平面作品だけではなく立体や映像にも挑戦していき、一方で、企画側の活動も行いたいと思っています。最近では、「いろんな人のふつうを考えられるようになると、新しいふつうが生まれる気がする」という概念を「SUPER NORMAL」と名付け、作品をより日常生活に溶け込められるよう意識しています。日常の中にあるアートの大切さを伝えられるような包括的な活動を続けていきたいです。
4月10日(木)から開催する「Independent Tokyo 2024 Selection」に出展します!
「Independent Tokyo 2024 Selection」
2025年4月10日(木) ~ 4月30日(水)
営業時間:11:00-19:00 休廊:日月祝
※初日の10日(木)は17:00オープンとなります。
※オープニングレセプション:4月10日(木)18:00-20:00
※4月18日(金)、19日(土)は、tagboat Art Fair2025開催のため休廊となります。
入場無料・予約不要
会場:tagboat 〒103-0006 東京都中央区日本橋富沢町7-1 ザ・パークレックス人形町 1F
tagboat主催のアートイベント「Independent Tokyo 2024」において、185名の参加者の中から見事賞を獲得したアーティスト7名の展覧会「Independent Tokyo 2024 Selection」を開催いたします。
Independent Tokyoとは、若手の新進アーティストが自身のアート作品を展示販売することができるブース出展型のアートイベントです。若手アーティストの登竜門として、作家のキャリア支援を目的としています。
今回はIndependent Tokyo 2024にて受賞した作家の新作を展示・販売いたします。今後の活躍が期待できる若手作家による渾身の作品をどうぞご高覧ください。
ARTIST
24’グランプリ タムロアヤノ
24’準グランプリ 竹内みか
タグボート特別賞 宮口拓也、土屋靖之、TAIKI、ふるやみか、わんぱく中年とのまる