
都築まゆ美 Mayumi Tsuzuki
1966年東京生まれ。
1988年武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科(インテリアデザイン専攻)卒業。
油彩画とリソグラフによる版画作品を制作し、個展やアートフェアへの出展をメインとしながらクライアントワークを行う。また、布による動物の壁掛けオブジェFabric trophyの制作など、様々な創作活動をしている。日常の何気ない風景や人物を描きながら、記憶の曖昧さや感情の残像を表現。光と影、安らかでいて不穏、親密さと距離感といった二面性の共存を探求し、鑑賞者それぞれの記憶と重なり合うような作品を目指している。
【最近の主な出展歴】
個展『Everyday Fantasy』/ GALLERY ROOM・A
LUMINE ART FAIR 2025 / ニュウマン新宿
グループ展『Beyond the WINDOW』 / ART GALLERY 1(大丸東京店)
tagboat Art Fair 2025 / 東京ポートシティ竹芝
WAVE2025 / LURF GALLERY
ONE ART Taipei 2025 / 台湾
グループ展『乙女モード ―かわいいだけじゃ物足りない―』/ Bunkamura Gallery 8/
個展『Whose Memory? 記憶のふち』/ Otherwise Gallery
ほか、個展・グループ展多数
今回のグループ展では、どのようなテーマやコンセプトで展示を構成されましたか?
私の作品は、視覚を切り取ったような「ただ見たまま」の構図に見えるかもしれません。
しかし実際には、その多くは現実には存在しない光景です。作品に登場するモチーフの多くは、私の中に蓄積された記憶の断片や、そこから派生した空想によって創られています。
私にとっての実在感とは、目に映るものをそのまま再現することではありません。
その奥に潜む気配や記憶が息をしていること。曖昧な記憶の手触りや、取りこぼされた感情の細片が、確かにそこにあると感じられることです。
今回の展示では、光と影、なかでも身の回りにある人工的な光と、そこに立ち現れる情景を描きました。それぞれのイメージが、鑑賞者の記憶と重なり合い、実在感を伴った普遍的な物語として立ち上がることを願っています。

現在の作風に至るまでに、どのような変化がありましたか?
創作を始めてから現在に至るまで、私のテーマやモチーフは大きく変わっていません。一方で、画材や技法、そして制作に向き合う立場は、少しずつ変化してきました。
初期はプリントゴッコやデジタル版画を用い、色のズレや重なりによる独特の質感を探求。その後、リソグラフへと移行し、刷りの不確かさやレイヤー構造が、私の関心と強く結びついていきます。
現在は油彩を中心に制作していますが、版画やデジタル表現で培った「画面を構築する視点」や「層として色彩を捉える感覚」は、そのまま引き継がれています。筆致や絵具の厚み、時間をかけて画面と向き合うことで、より身体的に記憶や感情に近づけるようになりました。
また、イラストレーターとしての活動から、画家としての制作へと重心が移ったことも大きな変化です。規制や枠から離れ、よりストレートに創造に向き合えるようになった今、イメージを探り、手を動かして描くという行為そのものが、何より楽しい時間になっています。


作品に共通するテーマや思想はありますか?
ありふれた風景や人物、日常の何気ない瞬間の中に潜む、言葉にならない記憶や感覚をすくい取ることを大切にしています。光と影、温もりと冷たさ、親密さと距離感。私が描くのは、そうした二面性の間に揺れる世界です。柔らかい色彩で包まれた静かな情景は、どこか遠い記憶の中にあるような懐かしさと、今ここにはないものへの喪失を喚起します。
作品に登場するモチーフは、具体的でありながら、観る人の記憶と重なり合うような普遍性を持っています。それは私自身のものであると同時にイメージとしての記憶であり、誰かの遠い記憶でもあります。
鮮やかな色彩とその重なりは重要な要素です。重なり合う色の層は、単なる視覚的な効果にとどまらず、記憶が幾重にも折り重なって曖昧になっていく様子を表しています。ひとつひとつの色は鮮やかでありながらも、他の色と響き合いやがて一つの空気感を生み出します。それは、過去の記憶が現在と溶け合いながら存在しているような感覚に似ています。
劇的な出来事ではなく、何故だか残っている他愛ない記憶やありふれた風景の中にある個人的な感情を丁寧に描いていき、それを共有することで不確かだけれど普遍性のある物語を提示したいと考えています。
制作のインスピレーション源になっているものを教えてください。
記憶、写真、アルバム、映画、小説、夢、古い印刷物に加え、日常の中の光や影、通り過ぎる風景、はっきりとは思い出せない情景や感覚などが、制作のインスピレーションになっています。

今後の制作において挑戦したいことや意識していきたいことを教えてください。
展覧会ごとに異なるテーマを設け、その都度、実験を重ねながら制作を続けています。
変化を恐れず、しかし無理に新しさを求めるのではなく、今自分が惹かれている感覚に正直であること。その積み重ねの先に、自然と次の表現が見えてくるのではないかと思っています。
1月29日(木)から開催する3人展「Layers」に出展します!
「Layers」
2026年1月29日(木) ~ 2月17日(火)
営業時間:11:00-19:00 休廊:日月祝
※初日の1月29日(木)は17:00オープンとなります。
※オープニングレセプション:1月29日(木)18:00-20:00
入場無料・予約不要
会場:tagboat 〒103-0006 東京都中央区日本橋富沢町7-1 ザ・パークレックス人形町 1F
ARTIST
月乃カエル、都築まゆ美、HARUNA SHIKATA