タグボート取り扱いアーティストの皆さんに、インタビューに答えていただきました。
アーティストになったきっかけ、作品制作方法、作品への想いなど、普段は聞けないようなお話が満載です。
毎週更新していきます。ぜひご覧ください!
小さいころから絵を描くのが好きでしたか?
特に絵は描いていなかったです。中学のころから美術に興味を持つようになって、ダリの絵を模写したりしていました。
美術の道に進むことになったきっかけは?
高校生の時にアンディウォーホルの大きな展覧会がありまして、工業的な手段や既製品を使った作品がとにかくかっこよくて、めちゃくちゃ興奮して帰ってきました。たぶんその日にアーティストになることが決まったんだと思います。その後レディメイドなどの20世紀初頭の美術史を知り、アートが手で描くものだけではなくコンセプトがアートになるということを知って、完全にはまっていきました。
This work is created with the character “Hatsune Miku” of Crypton Future Media Co., Ltd.
based on the Piapro Character License.
初めて作品を発表したのはいつ、どんなときですか?
高校生の時にノイズミュージックのカセットテープやVHSの映像作品をつくって、古着屋さんで売ってもらっていました。カセットは、五本ぐらい納品して確か二本ぐらい売れた記憶です。それがめちゃくちゃ嬉しかったことを覚えています。その頃は90年代中頃だったのですが、宇川直宏やHIROMIXなどのアーティストや、音楽シーンでもコーネリアスやボアダムズを筆頭にアヴァンギャルドな活動がとても盛んで、彼らから沢山の影響を受けました。アートや音楽、ライブパフォーマンスなど、表現できることをとにかくなんでもやっていました。
*高校時代に作っていたカセットテープ
制作する日はどのようなスケジュールで進めていますか?
以前はかちっとスケジュールを組んで制作をしていたのですが、結局想像通りというか、予定調和になってしまって、自分の作品のレベルに大きな壁を感じていました。その瞬間にしか生まれなかったような感じがアートには必要だと思いました。自分自身が想定したものを超えていかないと感動する作品はできないと思って、最近はなるべく予定を決めないようにしています。キャンバスを貼ったり、絵の具を混ぜたり、下地を塗ったり、カメラをセットしたり、装置を動かすなど。作品を完成させるためにいろいろな作業があるのですが、「やっぱこっちのほうがいいな」とか、「ここを改造したらおもしろいんじゃないか」など、それぞれの作業でインスピレーションが起こることを優先するようにしています。作業が順調に終わることにはあまり期待しないようにしています。
作品の制作手順や方法などを教えてください。
作品のテーマは突然ひらめくことが多いです。「ドローンが絵を描いたらいーかも」みたいな感じではじまります。その後はとにかくずっと考えています。寝ている時も考えているような気がします。
テーマに深い意味があるかとか、自分がやる意味があるかとか、簡単に人に伝えられるものか?朝まで話したくなるほど興味のあるテーマか?アート的な正当性やアンチテーゼがあるかなどを脳内で論理の検証&組み立て作業を行います。
それらが、自分で設定している「アート制作に於ける戒律」というものがあって、それをパスできるかチェックをします。パスできなかったら終了で、パスしたら制作に進めます。
その後テーマを実現するための装置や舞台の工作を行います。不足している技術は勉強をするか、自分でできそうなことは、友人や専門家の方に依頼をします。だいたいうまくいかないのですが、何度も修正をして完成させていく感じです。
現在、力を入れて取り組んでいること
この前の「INDEPENDENT TOKYO 2019」に参加させてもらって、たくさんの人にテーマを話すことができて自分の考えがとてもクリアになりました。自分のアーティストとしてのスタンスがちょっとはっきりしてきた気がしています。
今は、自分のコアなテーマを超ダイナミックなものに昇華させたいです。例えば「ドローン100台が隊列を組んで30秒で絵を仕上げる」とか「完全に自分が関与せず作品が仕上がる」とか「奇跡を機械的につくる」とか。実際はかなり難しいことなので、そのための実現性の検証や勉強をしています。
将来の夢
アンディウォーホルよりもインパクトのあることをやりたいです。僕にとって美術史は人生そのもののような最大のエンターテイメントです。そこに参加して、オーディエンスを沸かせることが夢です。いままで誰も発見できなかった美的価値観を表現して、たくさんの人を感動をさせていきたいです。
みんなに言いたいこと
みんながアートを見て、感動や批評をすることに夢中になれば、世界から全ての暴力をなくせると思います。アーティストやお客さんや批評家が、これがアートだとかアートではないとか言いながら、何億もするアートを世界中で売買するのって最高に馬鹿馬鹿しいことだと思います。僕はそういうことに夢中になる人って超豊かな哲学をもっているのだと思います。アートは国境をなくす力があると思います、ぜひアートに夢中になって欲しいです。
-10月15日(火)21:55〜22:00 BSフジ「ブレイク前夜」に山口真人さんが出演します。こちらもぜひご覧ください。
山口真人はドローンや掃除ロボット、プログラミングによる機械学習など、機械と協調し作品を制作しています。山口は自身の直接的な表現を限りなく無くし、アーティスト性を機械に委ねていくことで逆説的に自分自身の価値や存在への疑問、また機械と人が同化し生まれる表現の可能性を発見しようとしています。
2019年 INDEPENDENT TOKYO 2019 にてグランプリを受賞、2019年に「Digital Objects / Turner Gallery」 、「Prologue of Trans Reality / H.P.FRANCE WINDOW GALLERY」の個展を行い、「SCOPE MIAMI BEARCH MIAMI」や 「Affordable Art Fair NYC」など海外のアートフェアにも参加しています。
Web site : https://plastic.tokyo
Instagram : https://www.instagram.com/yamagch/