
多摩美術大学で版画を専攻し、現在は油彩を中心に独自の風景を描き出す内山総一郎。作家が捉えるのは、日常の草むらや庭の隅に潜む「異界の気配」です。
植物の群生の中に、落描きのような生き物が共存する独特の世界観。タブレットによる構図構成と油彩の柔らかな滲みを融合させ、現実と想像の境界を曖昧に溶かし去ります。誰も気に留めない風景に、新たな生命の物語を吹き込む創作の歩みを伺いました。
内山総一郎 Soichiro Uchiyama
1981年 長野県生まれ、静岡県育ち。
2005年 多摩美術大学美術学部絵画学科版画専攻卒業。
植物が繁る風景をモチーフに、落描きのような線で描かれた生き物を組み合わせた絵画を制作。誰も気に留めない草むらや庭の隅など、日常の風景の中に潜む異界の気配をテーマに制作を続けている。
主な展覧会
2025年 個展「Weed Constellations」FRINGE(越谷)
2025年 個展「Hueweese」ギャラリーみるめ(調布)
2024年 個展「See you again in our dream」FRINGE(越谷)
2024年 個展「War Begins in a Distant Dream」ギャラリーみるめ(調布)
など
公募展
2019年 FACE 2019 入選
2025年 Independent Tokyo 2025 タグボート特別賞受賞
作品を作り始めたのはいつ頃ですか?
そのきっかけや影響を受けた出来事があれば教えてください。
幼い頃から絵を描くことは好きでしたが、高校の学祭でクレヨンを使って絵を描いたのがきっかけです。何を描くかを考えるというより、まるで何かに導かれるように手が動き、絵が生まれてくる感覚を覚えました。その体験が制作の原点になっています。

アーティストを目指すようになったのは、どのような経験や思いがきっかけでしたか?
特別に「志した」というより、作る以上、良い作品は自然と外に出ていくものだと思ってきました。意識せず創作に没頭し独自の世界を築いたヘンリーダーガーのような存在には強い憧れを感じています。

作風が確立するまでの経緯を教えてください。
初期は版画と油彩を並行して制作していましたが、次第に油彩をメインへと移行しました。身近な草むらや庭の植物を観察する中で、植物の群れの中から何かを見つけるような感覚が生まれ、そこに落描きのような生き物のイメージが現れるようになりました。植物と生き物が共存する現在の作風は、その発見の積み重ねから形になっていきました。
作品を発表し始めたのはいつ頃ですか?発表するまでにどういった経緯がありましたか?
大学時代、神楽坂のカフェで油彩とリトグラフを展示したのが最初でした。当時は自分の画風を確立しなければと焦りもあり、その後しばらく、色を扱えなくなり、白黒の作品だけを作る時期もありました。

作品に共通するテーマやコンセプト(アーティストステートメント)について教えてください。
日常の風景の中に潜む異界の気配のようなものに興味を持っています。誰も気に留めない草むらや庭の隅など、ありふれた場所を観察する中で、そこに別の世界への入口のような感覚を見出します。植物の群れの中に立ち上がるイメージを描くことで、現実と想像のあいだにある世界を表現したいと考えています。

作品はどのように作っていますか?技法について教えてください。
制作では自分で撮影した写真とドローイングを、タブレット上で重ね構図を考え、油彩で描いています。麻キャンバスにジェッソで平滑にした下地を作り、油絵具をペトロールで薄く溶いて描き始めます。水彩のような滲みと油彩の物質的なタッチを重ね、絵具の質感からイメージが立ち上がる画面を目指しています。

これまでの人生や創作活動の中で、特に影響を受けた人物や作品はありますか?その理由も教えてください。
フンデルトヴァッサーや エゴンシーレ、ピータードイグ など、独自の感覚で世界を捉える作家に惹かれてきました。現実の風景でありながら、どこか内面の世界のようにも感じられる表現に魅力を感じています。また音楽ではありますが、Radiohead のトムヨーク にも影響を受けており、音の重なりの中に空間や風景が立ち上がるような内省的な雰囲気に共通するものを感じています。
今後の制作において挑戦したいことや、意識していきたいことを教えてください。
これまで描いてきた植物と生き物の関係性を、より大きな画面の中で展開していきたいと考えています。草むらの中から何かを見つけるような感覚を大切にしながら、見る人が画面の中に入り込むような空間を作りたいと思っています。日常の風景の中に潜む異界の気配を、より強く感じられる作品を目指して制作を続けていきたいです。
4月9日(木)からIndependent Tokyo 2025 Selectionに出展いたします!
「Independent Tokyo 2025 Selection」
2026年4月9日(木) ~ 4月23日(木)
営業時間:11:00-19:00 休廊:日月祝
※初日の9日(木)は17:00オープンとなります。
※オープニングレセプション:4月9日(木)18:00-20:00
※4月17日(金)は18時閉場となります。
入場無料・予約不要
会場:tagboat 〒103-0006 東京都中央区日本橋富沢町7-1 ザ・パークレックス人形町 1F