タグボート取り扱いアーティストの皆さんに、インタビューに答えていただきました。
作品制作にまつわるあれこれや、普段は聞けないようなお話などが満載です。
毎週更新していきますので、ぜひぜひご覧ください!
小さいころから絵を描くのが好きでしたか?
物心ついた頃にはお絵かきしていて、家ではゲームもせず絵ばかり描いている子供でした。イラストや絵本を作って友人にプレゼントしたり、中学の文化祭のために作った絵本を先生が買ってくれたこともありました。高校くらいからは、普通科だったので周りに美術仲間もいなく、絵を描くことが少し恥ずかしいような気がして、放課後にこっそり美術室に行って描いていました。
美術の道に進むことになったきっかけは?
音楽を聴いていると、涙が止められなくなるほど感動することがあります。一番古い記憶は小学生の時です。詩でもインストロメンタルでも、歌詞の意味がわからなくても、なぜだかものすごく心に刺さって攫われてしまうのです。それはその時のシチュエーションや心情にもよると思いますし、絵の時もあれば彫刻の時もあります。とにかく、そんなものを作ることができる人ってすごい、というような憧れがずっとあって、はじめのきっかけはそういうことだと思います。
また10代の頃、”絵を描く人” として生きることが少し恐くて、まったく関係のない仕事に就こうかと悩み親に相談したことがあったのですが、その時父親に「やりたくない仕事をするより、絵を描くことを活かせることをしたほうがいい」と言われはっとしました。その時からは自分なりのやり方で、制作しながら生活をして、迷った時には周りに流されず自分にとって大切なことは何かを選択しながら進むようになりました。理解ある親、家族に感謝しています。
初めて作品を発表したのはいつ、どんなときですか?
初めて展示をしたのは、セツモードセミナー在籍中にふたり展をさせてもらったときです。卒業してからすぐに吉祥寺のスペースで機会をいただいて、初めて個展をしました。当時はペラペラの紙にアクリルとクレパスを使って、不自然なバランスの人物画を描いていて、小さな会場に何体もその像を並べて展示しました。タイトルをWhiteのつく英語で統一して、ひとつひとつの人物像に、タイトルとは別に一言を添えました。初めての個展で、空間が自分の作ったもの、好きなものや音で成り立って、それを観にきてくれる人がいるという状況が、とても刺激的でした。
制作する日はどのようなスケジュールで進めていますか?
スケジュールは特に決めていなく日によって違いますが、集中できるのは夕方以降が多いです。
作品の制作手順や方法などを教えてください。
最近はキャンバスにアクリルのみで描いています。2、3枚同時進行で描いてゆくことが多いです。主に人物画ですが「どんな顔の人を描くか」ではなく、日常で自分自身の考えや気持ちの揺れなどを意識して「いまこの心でいる私が描くもの」を描いています。テーマはいつも個人的であり、身近なことです。それが人物画を描く理由かもしれません。
2016年 ベルリン滞在時の制作風景
現在、力を入れて取り組んでいること
これまでは何年かにわたりテーマを絞るということがなかったのですが、現在は2016年から描いている”Little Perchta(リトルペルヒタ) シリーズ ”や、そこから派生したシリーズを集中して制作しています。表したいことが定まっている時期なのかもしれません。
また9月にグループ展「showroom Leben」に参加予定で、それに向けても制作しています。
リトルペルヒタ
将来の夢、みんなに言いたいこと
私は絵を描く中で言葉が出てくるとき、絵やシリーズ、展示会に詩をつけます。普段絵のテーマやおもいを文字にして解説することは、ほとんどしません。したい気持ちはあるのですが、どうもしっくりこないのです。興味をもってくださった方と対面であればもちろん深いところまでお話しますが、つまり例えば、私の作品集をご覧いただいても、画面とタイトルから想像するしかないのです。それに対して詩は、絵の字幕的な役割を果たしてくれます。詩が付いていたら絵と共に言葉を咀嚼し、味わっていただけたら嬉しいです。それから将来の夢というほどではないですが、絵本や映像作品を作ってみたいです。
セツモードセミナー卒業後、独自で活動。国内外で個展、アートフェア参加のほかにファッションブランドとのコラボレーションなど活動は多岐。
日常の生活が、表現したいものや伝えたいことに溢れ、それらを目に見えるものとしてつくる術-すべ-を持っているという幸運を、大切にしてゆきたい。