制作工程を種明かしする「How to Make」インタビュー。今回はタグボート取扱いアーティストの高橋夏代さんにお話を伺いました。
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今回ご紹介いただく作品は何ですか?
2019年から取り掛かっている「TYPE」シリーズについてご紹介いたします。
作品のアップ 左:LOVE(type 02) 右:HOPE(type 01)
この作品はどのように思いつきましたか?
作品のテーマである「集合」をインスタレーションや立体で表現していたのですが、その様を平面でも表現したいなと考えるようになり「募る」という言葉から「重ねる」というイメージが浮かんできたのがきっかけです。2012年ぐらいだったと思います。当時はシルクスクリーン 以外にイラストをプリントした紙や不織布などを貼り付けた作品もありました。
2012年ごろの作品
この作品はどこに注目して観てもらいたいですか?
文字がモチーフになっているのでその言葉の意味を考えてしまうかもしれませんが、意味というよりは感覚や動詞といったニュアンスで受け止めて欲しいです。文字は、書体や表現を変えること(色味、印刷の加減)で、好み・考え・性格など⼈によって異なる「個性」を表現しています。それを集合させたことによってできる言葉の意味は普遍的であるけど、個々の意識は十人十色であり、一つの価値に縛られていない現実があること伝えたいと考えています。
制作現場はどのような場所ですか?
自宅の一室をアトリエとして使っています。もっと広い場所が欲しいですね。。
アトリエの一部
この作品に使っている材料はなんですか?
アクリルの板です。厚さは1mm~3mmのものを使っています。
材料を扱う上で困っていることはありますか?
何枚も使うので出来上がる作品の総重量がそこそこ出てしまうことです。アクリル以外の素材も今後は検討していこうと思っています。
制作道具で気に入っているものはありますか?
シルクスクリーン で使っているスキージです。版を制作している業者さんのところで購入しました。ラバー部分が版に密着して、均等にインクを伸ばしてくれるので仕上がりに満足しています。
道具について困っている点はありますか?
シルクスクリーン のインクです。保存の都合ボトルタイプがベストなのかもしれませんが、チューブタイプだと使いやすいなと思っています。
どのような手順で制作していますか?
1)現在はぱっと見えるときの文字(英語 以下:アウトライン)、それを形成する文字(漢字 以下:インナー)と色の選定から始まります。
「アウトライン」になる言葉は、誰もが生活のなかで耳にすることがあるようなものを選んでいます。
2)レイアウトや、サイズなどを決めていきます。
イラストレーター を使っての設計
3)アクリル板に「アウトライン」の下書きを両面に行い、色をつけていきたい場所の保護シートを剥がしていきます。
4)「インナー」がプリントできるシルクスクリーンの版を用意します。版は自分で作成することもありますが、業者さんにお願いすることもあります。
5)アクリルの板にシルクスクリーン をプリントしていきます。色を変えたりして何度も重ねていきます。1つの作品で使われるアクリル板は6〜7枚ほど(2020年現在)です。
6)プリントが終わったらアクリル板の両側にアクリルの角材をつけていきます。板と板の間に隙間を作るためです。
7)保護シートを剥がして、額にセットしたら完成です。
今後はどのような制作・活動に取り組んでいきたいですか?
「TYPE」シリーズは色、サイズ、質感、空間など、表現をもっと広げて展開していきたいと思っています。
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