今回制作工程をご紹介いただける作品は何ですか?
以前から描き続けている音楽シリーズの一つです。
この楽器をモチーフに選んだ理由はなんですか?
『BuzzFeed』でたまたま南米少数民族の特集をしていて、彼らの持つリズムや音楽に興味を持ちました。
色選びはどのように行っていますか?
曲がまとまったり、分解されて聴こえる時このような複雑な色に見えます。
この作品はどのように観てもらいたいですか?
現代音楽のルーツがテーマなので、音楽に少しでも触れたことがある人は観て欲しいです。本作品は今までの作品とは雰囲気が変わったので、ビジュアルも内容の変化も楽しんで頂けたらと思います。
制作現場はどんな場所ですか?
普段はライブハウスなど外に出て描いています。
今は外出自粛期間中なので、自室のスピーカーの真ん前、特等席です。自室は機材が何でも揃っているのでテンポよく制作できます。
ただ、普段は生の音楽が聴ける所に赴いて描いているので、このような場所が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、今後も営業再開できない日が続くと思うと、悲しいです。
制作現場でこだわっていることはありますか?
ライブ感たっぷりの音楽、静かなホールで聴く音楽、家で何度も聴きたい音楽、一対一で向き合いたい音楽、それぞれに合った場所へ制作道具を持って描きに行きます。
どのように作品を制作していますか?
iPadを使っています。デジタルデータとして作品を描きあげて、それをキャンバスに顔料インクで出力します。出力後はデータを消し、一点ものとして発表しています。
その描き方を選んだ理由はなんですか?
CDやライブミュージックだけではなくYoutube等で手軽に消費される音楽を捉えるためには、複製消費される脆弱なデジタルデータで表現することが最適だと思ったからです。
また、溢れ出しそうなイメージをあえて平面上で収めるビジュアルが面白いと思いました。場所を選ばず多彩なツールが使えるので、自分の脳と作品が直結できる点が気に入っています。ドットではなくベクター形式を用いて、滑らかかつ力強い線、彩度も空気感も画面上で落ちないように研究を重ねています。
その描き方で困っていることはありますか?
iPadの新しいモデルが出たら、すぐ欲しくなってしまうことです。また、キャンバスに出力する際のインクがとても高価なので、生活費を削って制作しています。
制作にかかる時間はどれくらいですか?
描く時間は原則一時間以内、キャンバス出力にはかなりの時間がかかります。
制作しているときはどんなことが頭に浮かんでいますか?
曲のリズム、メロディー、スピード感、演奏者のバックボーンなど全てが色に変換されています。
好きな制作工程はありますか?
たくさんの色を見つけることです。
こだわっている制作工程はありますか?
出力する工程は、温度などかなりアナログを極めているので神経がちぎれそうです。見えた世界が、キャンバスにそのまま写っている状態にするために、デジタルからアナログ出力の切り替え部分はこだわっています。
あとは、視力と体調管理にも気を配っています。
みんなが真似できるiPadでの制作の楽しみ方はありますか?
スマートフォンがあれば気軽にお絵描きできるアプリはたくさんあるので、お試しください。
今、作家として何か伝えたいことはありますか?
外出自粛中なので、新しい楽器を始めてみたり、曲を作ったり、違うテイストで描いてみたり、鬱々としないように心がけています。大学四年間の集大成だった卒業ライブも、開催3日前に中止になりました。どうしようもない愚痴も言い続けましたし、大喧嘩もしました。不満ややるせない気持ちでいっぱいです。外に出られないことのストレスも溜まってきています。でもこれってみんな感じていることであり、これを打破はできなくても代弁したり、気持ちを和らげることができるのが、作家だと改めて感じました。
最近は、SNS上での活動は頻繁に行っています。この外出自粛期間が、「アートを観る、作家を観る」きっかけとなれば嬉しいです。