タグボート取り扱いアーティストの皆さんに、インタビューに答えていただきました。
作品制作にまつわるあれこれや、普段は聞けないようなお話などが満載です。
*本記事は2019年公開の記事です。
太田剛気 Gouki Ota |
小さいころから絵を描くのが好きでしたか?
はい。幼稚園の頃から何かを描くことは好きだったように思います。
幼稚園生にしては珍しく漢字が大好きで、自分でつくった架空のキャラクターに漢字で名前を付けて、それを描くなんていうことをしていました。
ただ、高校二年生のころに芸術の道を志すまでは、絵画などの美術作品にはほとんど興味がなく、基本的には漫画をずーっと描いていましたね。
美術の道に進むことになったきっかけは?
実ははっきりとは覚えていないのですが、高校二年生のころに、仲のよかった友達が「東京藝術大学受ける」って言ったのを聞いて「じゃあ俺も」となったのがきっかけでした。
当時の僕は大学で日本史を専攻したいと思っていたはずだったのですが、なぜ急に進路希望を変えたのか。今となっては謎のままです。
初めて作品を発表したのはいつ、どんなときですか?
アートとしての自分の作品を初めて発表したのは、大学一年生の時に同級生の仲間たちと行ったグループ展でした。
個展という意味では、大学二年生の終わりごろに美術家・美術批評家の黒瀬陽平さんにお声をかけていただいて開いた展示がはじめての発表になりました。
まだ右も左も全くわからないころで、自分の実力不足を痛感したことを今でもはっきり覚えています。
制作する日はどのようなスケジュールで進めていますか?
午前中にアトリエに着いて制作をはじめ、特に用事もなければ夜8時まで作業をして帰宅するというのが基本的なスケジュールです。
現在はまだ大学に在籍しているので、毎日大体同じ時間に家と大学を往復して作業をするという会社員のような生活スタイルで制作をしています。
作品の制作手順や方法などを教えてください。
絵画作品において僕の用いるシルクスクリーンという技法は、下描き→原稿づくり→製版→刷りという段階がとてもはっきりしています。鉛筆で下書きした絵を製版可能な原稿に清書し、それを基にしてつくった版を用いて支持体に刷るということを繰り返しています。
一方、僕の作品には「自分で創作した架空の国家の歴史」という重要な軸があるのですが、こちらはシルクスクリーンとは対照的に段階と言うものは存在せず、まずはノートや紙に文字や表による膨大な情報をドローイングして、それを必要に応じてまとめてみたり、あるいはドローイングのまま絵画作品の土台にしてみたり、様々な制作手順をとっています。
ただし、制作全体で見てみると僕の制作は、架空の国家の歴史をドローイングでつくる→それを基に絵画をつくる、という体系的な手順を採っていると思います。
現在、力を入れて取り組んでいること
ひとつ前の質問でも触れましたが、現在僕は「自分で創作した架空の国家の歴史」を基にして絵画を制作しています。
ですが、これは作品制作の最も基本的な部分でしかなく、今自分に課されている問題はこの基本的な部分に立脚しながらいかにして自分の考えを人々に伝えられる作品をつくることができるかという点であると考えています。
面白いアイデアを持つ人や、すごくクオリティの高い作品をつくる人は世の中に山ほどいます。そんな中でも埋もれない作品をどうやって生み出せるのか。
こうした考えをまとめることに、今最も力を入れて取り組んでいます。
将来の夢、みんなに言いたいこと
ただ「ものをつくるのが好きなんです」というだけでは終わりたくない、どうせつくるなら歴史に残るくらいの作品をつくりたいと常々考えています。
未来のことなんて全くわかりませんが、「今に見てろ」という心づもりで制作しています。
僕の作品をすこしでも多くの人に見てもらって、「いい作品だな」と思ってもらえれば幸いです。
太田剛気 Gouki Ota |
1991年 東京都生まれ
2019年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業
2021年 東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻版画研究分野修了