
友成哲郎
1986 神奈川県生まれ
2011 東京造形大学大学院 造形研究科 美術研究領域(彫刻) 修了
2018年8月 Independent Tokyo 出展をきっかけにtagboat取り扱い開始
一貫して人間をモチーフに制作しており“生“心理“内面生“を表現。
・人が靴の湯に浸かる「靴湯シリーズ」
コンセプト : 歩み、疲労し、休息や癒しを求める人物像
技法 : 木彫、樹脂、テラコッタ等
・名画真珠の耳飾りの少女がマイクを持った「フェルメールの名画×アイドルシリーズ」
コンセプト : 偶像崇拝、承認欲求、西洋と日本、古典と現代
技法 : 木彫、キャンバスにアクリル、デジタルペイント等
近年は上記以外の新たな作品シリーズも試みている。
作品を作り始めたのはいつ頃ですか? そのきっかけや影響を受けた出来事があれば教えてください。
学生時代、同級生が自由に、のびのびとオリジナルの作品制作に取り組んでいる姿がとても眩しく映ったことが、作品制作を意識する最初のきっかけでした。当時の自分は、表現することは特別な人だけができるものだと思い込んでおり、自分には到底できないと感じていました。しかし同時に、「自分も表現者として、アートの魅力を誰かに伝えられる存在になりたい」という思いが芽生え、少しずつ制作を始めるようになりました。
アーティストを目指すようになったのは、どのような経験や思いがきっかけでしたか?
作品づくりを通して、アーティストという生き方を強く意識するようになりました。当時は明確な目的を見失い、心身ともに不調を感じていた時期でもありましたが、無心で木の靴を彫り続ける時間が、自分にとって大きな救いとなりました。その経験から、表現すること自体が人を癒す力を持つと実感し、自分の作品を通して、鑑賞者にも癒しを感じてもらいたいと考えるようになり、《靴湯》というシリーズが生まれました。

現在の作風に至るまで、どのような試行錯誤を重ねてきましたか?影響を受けたものや、転機となった経験があれば教えてください。
これまでの制作において最も大きな影響を受けたのは「人」の存在です。自分自身が成長できた背景には、常に他者からの影響があり、その影響を受けた人々を形にしたいという思いは一貫しています。また、表現の複雑性を考える中で、一つの素材やジャンルに縛られる必要はないと感じるようになりました。木、粘土、絵画など、複数の媒体を横断しながら試行錯誤を重ね、現在の作風へと辿り着いています。
作品に共通するテーマやコンセプト(アーティストステートメント)について教えてください。
私の作品は、一つのシリーズにとどまらず、「人」を軸に展開しています。人が靴の湯に浸かる《靴湯》シリーズ、人物がマイクを持って歌う《IDOL》シリーズなど、これまで様々なシリーズを制作してきましたが、いずれも人生における「癒し」「心理」「承認」、そしてそれらを支える人間の根源的な「欲求」を共通のテーマとしています。人が内面に抱える感情や存在のあり方を、形として可視化することを意識しています。

これまで影響を受けた作家や表現はありますか(絵に限らず、漫画・映画・音楽など)
特定の作家やジャンルに強く影響を受けているというよりも、漫画、映画、音楽など、日常の中で触れるあらゆる表現から影響を受けています。特に「人を楽しませる」という点においては、お笑い芸人の表現から多くを学びました。作品を通して、鑑賞者が少しでも前向きな気持ちになったり、楽しさや余白を感じられるような表現を大切にしています。
作品のアイデアは、日常のどんな出来事や風景から生まれることが多いですか?
作品のアイデアは、制作中に自然と生まれることも多いですが、日常の中でふとした瞬間に浮かぶこともあります。多様な表現に触れている時や、リラックスしている時、街を歩いている時など、特別な場面ではなく、常に頭の片隅でアイデアを受け取れる状態を意識しています。日常と制作が地続きであることが、自分の表現の源になっていると感じています。

今回、「アート解放区 人形町」に出展されている作品について教えてください。
本展では、歴史上の名画に登場する人物がマイクを持つ姿を描いた《IDOL》シリーズを出展しています。過去に音楽イベントのスタッフとして関わった経験も、このシリーズに影響していると感じています。現代社会における「偶像(アイドル)」の存在を主題に、光を浴びる人物の内面に潜む孤独や緊張、消費される存在としての脆さを描いています。
同時に、承認が与えられることで存在が成立し、その承認が失われた瞬間に崩れてしまう危うさにも目を向けています。
フェルメールやドラクロワ、浮世絵に描かれてきた人物像を参照点とし、それぞれの時代や文化における異なる「視線」の在り方を重ね合わせながら、見る/見られる関係性をあらためて問い直しています。

作品を見る人に、「これを感じてもらえたら嬉しい」というポイントがあれば教えてください。
《IDOL》シリーズでは、名画をモチーフにしながらも、人物の表情や眼差しに特に注意を払い、感情の微細な揺らぎを描くことを意識しています。一方、《靴湯》シリーズでは、人の表情や靴のシワといった細部に加え、展示空間で靴のお湯から立ち上る「香り」の演出も行っています。視覚だけでなく、五感を通して作品を体験してもらえたら嬉しいです。
今後の制作において挑戦したいことや意識したいことはありますか?
現在は絵画や彫刻といった従来の表現に加え、香り、アパレル、パッケージなどにも作品を展開しています。今後は作品の領域をさらに広げ、ジャンルの枠にとらわれず、さまざまな形でアートに触れるきっかけをつくることで、より多くの人にアートの魅力を伝えていくことを意識しながら制作を続けていきたいと考えています。
1月9日(金)ー1月31日(土)開催:アート解放区人形町「FLUID EDGE」※閉幕いたしました

「FLUID EDGE」
会期
2026年1月9日(金) ~ 2026年1月31日(土)
営業時間
平日:12:00-19:00 土曜日:11:00-19:00
休廊:日月祝
会場
アート解放区 人形町
東京都中央区日本橋人形町3-6-9 SPACE ANNEX 1F, B1F
ARTIST
【1F】木村美帆、山谷菜月、マシューマロー
【B1F】塩見真由、友成哲郎、池伊田リュウ、三塚新司、松森士門