
益田由二
東京造形大学造形学部卒業
卒業後は印刷会社デザイン室、写真ラボに勤務しながら街をテーマにした写真展等に参加
2010年頃から絵を描き始め、益田由二の名義で画家・イラストレーターとして活動を開始
2015年台湾にて初個展
ペン画による繊細な描線にデジタル処理を加えた独特の筆致と世界観で構成された作品を制作。
切手、燐寸箱、加留多、テキスタイル、図鑑、道具など身の回りにある雑貨、図案、タイポグラフィなどに着想を得て、制作された作品はユーモアと親しみやすさを感じさせる。

作品を作り始めたのはいつ頃ですか? そのきっかけや影響を受けた出来事があれば教えてください。
子供の頃は広告やチラシや駄菓子の箱や雑誌の付録などが好きでした。
コツコツやる作業が自分には合っていて、芸術よりは職人的な分野に進もうと思いました。
東京造形大学一類に入学し、印刷と写真の基礎を学び、課題以外の絵は大体漫画を描いていました。
最初に形になった作品は同人誌です。多色刷りでした。
卒業後は印刷会社のデザイン室を経て数年後にプロラボに転職、毎日カメラを持って出勤の写真三昧。
初めて展示した作品は写真でした。
アーティストを目指すようになったのは、どのような経験や思いがきっかけでしたか?
就職してから絵は全く描いていませんでした。
30代後半にMacとプリンターを買って雑貨を作り、知人の勧めでアートフリマやイベントなどに出展しました。イベントブースで原画を引き延ばして展示してみたところ外国の方に売って欲しいと言われ、始めて絵(出力)を売りました。
台湾のギャラリーの方に出会い、台湾巡回個展の話をいただきました。そこで日本のアートファンの人たちと接したことは良い刺激になり、言葉が無くても絵で想いを伝えることが出来るという自信になりました。
GeisaiやIndependentなどのアートイベントやグループ展に出展して徐々にアート作品を増やしました。
作品に共通するテーマやコンセプト(アーティストステートメント)について教えてください。
~複雑に絡み合った世界の模倣と再構築~
益田由二の制作は白紙の上に線をひくことによって平面上に境界を作り、線と線で囲まれた面に色をつけて世界を構築しています。人間社会のカリカチュアである主人公(虫や魚や動物)を中心に据えて、取り囲む余白をツールやセリフ、記号で埋めていきます。下書きなしで、アドリブで書き込むことも多いです。
平面作品は複雑に絡み合った現実世界を写した図案であり、作家の感性というフィルターを通して再構築され、ギミックは空想の旅をするための案内役になります。

作品のアイデアは、日常のどんな出来事や風景から生まれることが多いですか?
作品の構想を思いつくのは写真を撮っている時、車窓や路上や園芸や料理中、、、ふとした隙間に降りてくることが多いです。文字や音にも影響されます。映画や小説など気に入ったセリフをメモしたり、ガラクタや電球や時計のパーツなどの部品を眺めたりします。描きたいことが溜まって全体の構成が見えてきたら一気にラフスケッチを描きます。

今回、「アート解放区 人形町」に出展されている作品について教えてください。
SPACE ANNEXの広い空間を二面使わせていただけるので、一面ずつシリーズを変えてテーマを見やすく配置してみました。
私の絵は近くで描き込みを丹念にたどって見てくださる方が多いですが、今回は余白が大きく、一見してすっと感覚に訴える展示を考えました。
2022年までの作品はペン画にデジタルレイヤーで着色していました。2022年頃から描き始めたXxxX「宙」シリーズではデジタルで下地(壁紙)を作り、水彩や顔料で着色、最後に描線の順になり、過程が逆行しています。
今展示が初出展のXxxX「界」シリーズは、さらに空間意識に踏み込んで境界となる線画を取り払いました。水筆で引いた透明な円相の内を中、余白を外と観るか、混濁した絵具の流れを線と観るか、背景のデジタル画像を電子空間と見るか、壁紙の模様と見るか・・・今まで主人公(ギミック)を中心にして描いてきましたが、このシリーズでは主人公を描かないことで、抽象的な表現を模索しています。
今回は全てアナログで仕上げた作品です。実験的な部分もあり、画材の階層による光の違い、紙媒体ならではの温もり、歪み、筆圧、手触り感なども鑑賞していただきたいと思います。

作品を見る人に、「これを感じてもらえたら嬉しい」というポイントがあれば教えてください。
2024年から2025年にかけて、二つの出来事がありました。
引っ越しによる環境の変化と手の負傷のため、制作時間が極端に減りました。描きたい時に描けないことは辛いものでしたが、時間の制約がある中で、何を描くか立ち止まって考えるきっかけになりました。
現在は郊外の一軒家で植物を育て収穫して食べ、猫と天気の心配をして一喜一憂しています。紙やPCに向かっている時間は減りましたが、プラスとマイナスの経験の全てが作品の中に葉脈のように巡っているように感じています。
以前は頭の中とPCで完成を予想してから描いていましたが、最近は外で描いたり音楽をかけたり体を動かしながら描く事もあります。
作品の中に光や空間や時間の流れを観ていただけたら嬉しいです。

今後の制作において挑戦したいことや意識したいことはありますか?
写真とのミクストメディア、立体、モノクロ表現なども挑戦してみたいです。
どんな表現を用いてもその時にしか描けない作品は一期一会です。
身近な題材をモチーフにユーモアを交えて、楽しむことを忘れずに、丁寧に作っていきたいです。
2月6日(金)ー2月28日(土)開催:アート解放区人形町「ALTER REALITY」※閉幕いたしました

「ALTER REALITY」
会期
2026年2月6日(金) ~ 2026年2月28日(土)
営業時間
平日:12:00-19:00 土曜日:11:00-19:00
休廊:日月祝
会場
アート解放区 人形町
東京都中央区日本橋人形町3-6-9 SPACE ANNEX 1F, B1F
ARTIST
【1F】今関絵美、川﨑夏美、益田由二
【B1F】秋元机(Desk)、大谷太郎、小池正典、榊貴美、長縄拓哉