
長谷川洋介

プロフィール
静岡県生まれ。
グラフィックデザイナー、3DCGイラストレーターなどを経て、紙幣を使ったアーテイスト活動を開始。
311をきっかけに2013年よりタイのバンコクへ移住し、2018年末からは台湾・台北を拠点を移す。
2024年に日本帰国、現在静岡在住。
長谷川洋介は、貨幣経済や経済至上主義な世の中を揶揄し、皮肉をまぜながら、紙幣を折り、
時には切り刻むような手法で作品を作り続けている。
この世の中で絶対的な力を持ちうるお金という存在に疑問を投げかけているのだ。
オークションセンター台北で開催された「コンテンポラリーアートサロン2019春」で出品した作品全てが
完売したのを皮切りに、売れ行きは急上昇し、天井知らずの好調さを維持している。
その後も精力的に個展を開催するなど、今後の更なる価値上昇に期待が高まっていると言える。

作品を作り始めたのはいつ頃ですか? そのきっかけや影響を受けた出来事があれば教えてください。
美術大学を卒業した後、広告のデザイナーとして何社かを転々としつつ3、4年程経った頃、
結局どこで働いてもクライアントのいいなりで半ば奴隷のように働かされることに辟易し、
会社を辞めアメリカを車で半年かけて約1周する一人旅に出ました。
帰国後、その旅で撮った写真を自分で現像したり、ビデオを編集した時に感じた喜びや楽しさは
それまでの仕事で味わっていたものとはまったく別のものでした。
モノ作りという意味で「自分の作品」と言えるものを初めて作ったのはこの時だったと思います。
その写真がコンテストで評価され、他者から自分の作品を認めてもらう喜びを知ったことも、大きな転機になりました。
その後、ジュリアナ東京で店内用のビデオアートを担当し、さらに3DCGイラストレーターへと
活動の場を広げていきました。
その時々の自分の興味の変化に応じて、制作する作品や仕事も変わっていきました。
そして2006年、アニメスタジオで3DCGアニメーターとして働いていた時、
偶然ネットで千円札で折られたターバンを巻いた野口英世のおりがみを見た瞬間、
そのビジュアルの面白さに加えて大事なお金をおちょくっている感じが実に愉快で
紙幣を使ったおりがみに魅了されてしまいました。
そして試しに自分のオリジナルのお札おりがみに挑戦してみたところ、
折るたびに次々と面白いおりがみ作品が生まれていきました。
日々終電まで忙しくアニメスタジオで働きながら、それでもお札おりがみを折りたい衝動を抑えられなかった私は
通勤電車の中で千円札を取り出してはおりがみを折り続け、どんどん新しい作品が増えていきました。
現在の私のマネーアートの原点はこの遊びから始まったお札おりがみにあり、お金を弄ぶという背徳感を含んだ行為に
強い面白さを感じたことだと思います。

作品に共通するテーマやコンセプト(アーティストステートメント)について教えてください。
私の作品に共通するテーマは、「価値とは何か」を問い直すことです。
お金は自然界に存在するものではなく、人間が生み出したひとつの“概念”です。
紙幣という物質に対して、人々が「価値がある」と信じることで成立している社会的な約束にすぎません。
その価値は絶対的なものではなく、時代や制度、国家や経済状況によって容易に揺らぎます。
それにもかかわらず、私たちはその不確かな虚構を現実以上に信じ、人生の選択や行動、
さらには生き方そのものを委ねています。

私は紙幣を素材として、折り、切り、貼り、再構成することで作品を制作しています。
「価値の象徴」とされる紙幣を物質として一度解体し、造形として再び立ち上げる。
その行為を通して、私たちが無意識に信じている“価値の構造”を可視化し、問い直そうとしています。
紙幣はただの紙です。
しかし同時に、それは欲望や信用、不安、希望、権力、そして生存と深く結びついた象徴でもあります。
私にとってマネーアートとは、価値を破壊する行為ではなく、再解釈する試みです。
固定化された価値観を揺さぶり、「本当の価値とは何か」という問いを観る人それぞれに委ねています。
お金という“幻想”を素材にしながら、人間が何を信じ、どのように意味を与えているのか――
その根源的な構造そのものを問い続けています。

今回、「tagboat Art Fair 2026」に出展される作品について教えてください。
3種類のシリーズ作品を出品予定です。
⚫︎シュレッダーマネー
シュレッダーにかけられ細かく裁断された紙幣のクズを色で分類した後、一片一片貼っていき模様や文字、
マークやキャラクターを再現した作品
⚫︎ReConstructed Dollar
アメリカのドル札などをパーツパーツで切り抜き、シャドーボックススタイルで階層をつくって立体的な紙幣を
再構成した作品
⚫︎Masked Money
世界の為替レートはまるでプロレスのようだ。
代表的な各国紙幣の肖像画の顔の上にプリンターでプロレスラーの覆面を印刷。

作品を見る人に、「これを感じてもらえたら嬉しい」というポイントがあれば教えてください。
世界の基軸通貨としてのアメリカドルとはいったい何なのか。
ドル紙幣のプロビデンスの目の意味。
どうして日本は大量に購入している米国債を中国のように売却できないのか。
戦後のアメリカと日本の関係性の事やその他様々な社会的な事を思い描きつつ、
作品を見ながらお金というシステムや紙幣という紙の価値について考えてもらえたら嬉しいです。
作品そのものについては、できる限りの細かい作業をしているつもりなので、
ディテールをじっくり見てもらえたらありがたいです。

4月24日(金)ー26日(日)開催:tagboat Art Fair 2026

「tagboat Art Fair 2026」
会期
2026年4月24日(金)ー26日(日)
詳細日時
・Preview -会場限定販売期間-
4/24 (fri) 16:00 – 20:00
・Public View -オンライン同時販売-
4/25 (sat) 11:00 – 19:00
4/26 (sun) 11:00 – 17:00
※3日間どなたでもご来場可能です
会場
東京都立産業業貿易センター浜松町館 展示場2階
〒105-7501 東京都港区海岸1-7-1 東京ポートシティ竹芝
JR/東京モノレール 浜松町駅(北口)から徒歩5分
ゆりかもめ 竹芝駅から徒歩2分
都営浅草線/都営大江戸線 大門駅から徒歩7分
チケット代
1500 円(会期中再入場可能)
※障害者手帳のご提示でご本人様、付添いの方1名まで無料
※学生証のご提示でご本人様無料
※小学生以下のお子様は無料