第13回タグボートアワードで審査員特別賞を受賞された二宮千都子さん。
副賞として台湾・台中市での展示の機会を獲得した二宮千都子さんに、インタビューをいたしました。
◆ タグボートに応募された動機は何ですか?
実は、現在の作風の作品を初めて発表したのが前々回2016年度のタグボートアワードでした。
そこから1年で自分は作家としてこれまでとはまったく違った速度で成長できたと感じていました。また、アート関連の交遊関係が加速度的に増えました。
タグボートアワードは毎年年末付近に募集が開始されることもあり、①自分の1年の成長を測るため、という目的・また、②これまで知り合った方にまたお会いしたい、という思いから、応募しました。
◆ 実際に台湾で出展してみた感想をお聞かせください。
まずは出展を期にまた素敵なアート仲間に巡り会えたことに感謝しています。
海外の地で様々な困難(笑)に共に立ち向かうことで、より仲良くなれたと思っています。
展示に関しては、まるで美術館のような大規模な会場で、同じ空間に日本のメジャー作家や先輩作家の作品と自分の作品とが展示されていて、とても不思議な感覚になりました。
また、自身初の台湾での展示となりましたが、観客の年齢層の若さが印象的でした。
若者が進んで気に入った現代アート作品を楽しみ・購入する様子が、今正に発展し続けている台湾そのもののイメージとも重なり、多くのパワーを貰ったように思います。
ニューヨークと日本での出展経験がありますが、そのどちらにも似ていない独自のアートシーンがあるように思います。
◆ 台湾では現地でギャラリーツアーにも行ったそうですが、その感想は?
圧倒的な情報量で、ツアーから約1ヶ月程経過した今でもまだ自分の中で消化し続けている部分がある程です。
全体的にギャラリーの容積が大きく、建物の造作そのものを生かした展示が多い印象で、ギミックを楽しむ要素もあったためか、十数件回っても全く飽きることはありませんでした。
作品に関しては、欧米の流れを受けつつ独自の要素もあり、とはいいつつドメスティックになりすぎないバランス感のあるものが多かったです。このため、台湾のアートファンは自宅に作品を飾るイメージがしやすいのかな、と思いました。
逆に観ていて衝撃を受けるような前衛的な展示や作品は少なかったです。
Chi-Wen Galleryは自分の中に確実に何かをもたらしたのですが、未だ私はそれを形や言葉にできていません。これから形にしていくのを私自身、とても楽しみにしています。
移動の間に視界に入る、生命感溢れる町並み・これから作られていく都市、といった要素からも次回作へのヒントを多く得ました。
◆ タグボートアワードに求められることは何でしょうか?
これからブレイクをむかえる、キャリア初期の作家の登竜門として、かつ作家に寄り添う存在として、これからも開催してほしいと思います。
アワード自体が、ともすると孤独になりがちな作家同士の不思議な「ハブ」として稀有な場になっていると思います。
◆ タグボートアワードに応募を検討している人に一言、お願いします。
タグボートアワードに参加すると、何故か自然にアート友達ができます。海外へチャレンジするチャンスを得られるのと同時に、共に切磋琢磨できる仲間ができるのはタグボートアワードならではのアットホームな雰囲気ゆえかと思います。
例年の会場近くに大賞含む多くの受賞者を輩出すると噂のタイ料理店があります。
美味しいので、おすすめです!