アンテナが立っているか。コミュニケーション力。最後まであきらめない
アーティストは社会の動静に敏感になっていなければならない。
アーティストの立場として、社会的な問題の提言や、これまでのアートの歴史にはない新しい表現方法等が求められる。
見た目が美しいだけの作品は国際的なアートマーケットでは評価されないため、アーティストとして食べていくためには日本の狭いマーケットだけでは実質的な無理であり、国際的な評価を得るまでは食べていくことはできない。
そのためには感覚を研ぎ澄まし、世の中の流れと自分の立ち位置を見極めた上でアーティストとして発信するメッセージとコンセプトを持つことが必須である。
メッセージの「面白さ」、「斬新さ」、「感心させる」、「感動させる」といった、見るものに対しての圧倒的な影響力を発揮する作品でなければ、価値を上げることはできない。
世の中の様々な事象を観察した上で、新しい切り口でアートで表現する力が必要とされる。
作品そのものも常に進化させていくことも必要である。
顧客やアート業界は目まぐるしく変化しており、その変化に対応できるアーティストが残っていく。
決して上手い作家、技術力のある作家が勝つわけではない。いつまでも同じ作品を作る作家は飽きられるし、常に社会に対して斬新な提言をすることで、我々をハラハラさせてくれるアーティストが残っていくのである。そのためには社会情勢を理解し、世の中の流れを機敏に読み取り、トレンドを意識した情報収集力が重要であることは言うまでもない。
自分の表現したい内容を伝えるためにはコミュニケーション能力が必須である。
話し上手である必要はない。文章を書いてももよいし、SNSやブログなどを活用してもよい。
訴えたいこと、アートを通じて伝えたいことを伝えるためにはコミュニケーションが重要であり、これなしに勝手に売れていく作品などない。
作品としての価値を上げるため、作品をどう伝えるかというアピールの方法も重要であり、意味が分かりづらい内容を一般の人に理解してもらうことは難しく、誰でもわかる言葉で語ることが重要である。
コミュニケーション能力は作品を伝える以外に、ギャラリストやコレクター、美術館のキュレーターといった廻りの人々と知り合うきっかけを作る上でも、さらにその方々との関係性を作るうえで最も大切である。
現在世界で活躍しているアーティストの多くは極めてコミュニケーション能力が高い。
アートの作品を制作するのみで、対外的に一切のコミュニケーションを避けても、世間が認めてくれる時代は終わった。現在の世界では通用しないのである。
アーティストが、コレクターたちにサービスを徹することはないが、大人としてのきちんとしたやり取りは最低限として必要である。
多くのアーティストがアート作品を売ることで食べていくことができないまま、アーティスト人生を終えて、サラリーマンになってしまうことがほとんどである。
自ら競争をあきらめ、アートから足を洗って、アートを仕事から趣味の世界へと変容せざるを得ない状況に立たされているのは事実である。
世間での金銭的な豊かさを、一般のサラリーマンとアーティストとを比較したときに、こんなことをしててもいいのだろうかという感情が発生する。
また、親戚や友達からもアーティストそのものがまるで遊んでいるかのような見え方をされてしまうことがある。
アーティストは自営業者であり起業家と同じであり、誰にでもできるわけでない一握りの才能を生かした職業であるため、リスペクトされる存在でなければなならないのであるが、一般的な方には理解がされない職種であるため世間の風当たりは強く、その強さに我慢できなくなって、最終的にはやめてしまうのである。
そこを踏ん張って最後まであきらめない胆力ことがアーティストとして成功するために必須である。