アート作品の購入にはいろいろなエピソードが詰まっています。お気に入りの作家との出会いや、作品を購入するきっかけとなった出来事、また作品が届いてからの想いなど。今回はタグボート取扱い作家・坪山斉の作品をご購入された石井さまのエピソードをご紹介します。
石井 54歳・男性・神奈川県在住 |
「本物の迫力は絶大だ!」
本年2/28(金)から行われた坪山斉展「Universe」へ足を運んだ際の心の声です。「アートで投資」を意識し始めていた初の展示会でした。
メルマガで知った際は、すぐに過去のインタビューや作品をもう一度じっくりと見返しました。何故なら、数あるtagboat推しの中から、数名に絞り込んだ作家さんの一人が坪山氏だったからです。
展示会のコンセプトは以下
「2019年に上海でのレジデンスに参加した際に、中国が推し進めるテクノロジーによる情報統制を目の当たりにし、中国で実感した“データや情報といった目には見えないものによって構築されたもう一つの世界” を絵画で表現する」
私は「データを絵画で表現」と聞いて、真っ先に思い至った事は「X」をどう表現しているのか?でした。理系の私にとって「データ=X」だったからです。そして、メルマガの作品紹介に「X」が在り、ライトグレーが特徴的で差別化された「特別な作品」の様に感じました。
「X」、キャンバスにアクリル絵具、73 x 61 cm
しかし当時の私には、明らかに躊躇してしまう価格でした。私は最初のコレクションの予算を15万円と決めていたからです。ですので、予算が許容する範囲で3パターンで検討していました。
実際に解説をお聞きし、今シリーズは元より、坪山氏の制作コンセプトを私なりに理解することが出来ました。最初のパターンで決まりだなと、ほぼほぼ決まりました。
展示スペースの関係で「X」の展示がされていませんでした。せっかくの機会なのでバックヤードから出して頂き、拝見させて頂く事にしました。そして「X」の存在感に圧倒されました。写真では、分からないサイズ感と迫力。当然、同サイズの作品も展示してはありましたが、やはり私的には「X」が特別な作品なのだと実感しました。
その後「X」の解説を聞いて、更に募る想いが増しました。私の様など素人では、先の通り「特別にライトグレー」を配色したのかな?くらいの感覚でした。しかし、本意は「Universe」の象徴的な「ピンク(の直線)」を活かす為に『決断した色』だったのです。これは作家さんご本人に解説して頂かないと、知る由もありません。レセプションパーティーに行った甲斐があった、という他はありません。
「Universe」、キャンバスにアクリル絵具、162 x 130 cm
気付くと「X」一点買いに成っていました。いきなり来てしまった「ど真ん中のストレート」。しかし大幅な「予算外」。そして閉館時間。そこへ徳光代表が仰っで下さいました。「会期中、取り置きしておきますので、じっくりとご検討下さい」と。
そして、ある日突然に徳光代表の言葉を思い出しました。
曰く「アートへの投資は、ローリスク・ローリターンだが、株と違って愛でる楽しみが在る」という言葉を。(株で痛い目を受けていたので、特に刺さっていました)
個人的な理由で部屋には飾れていませんが、落ち込んだ時には箱から取り出して『力』を貰っています。
これからも色々な方々へ『力』を与え続けて下さい。
坪山斉 Hitoshi Tsuboyama 作品ページはこちら |
この度は、ご購入エピソードをお寄せいただき誠にありがとうございます。
石井様のことは、私も強く印象に残っております。先の個展初日、レセプションでしばし作品をご覧いただいた後作品や制作についてお話しさせていただきました。
上海のアーティスト・イン・レジデンスを経て制作した、情報やデータをモチーフにした作品を、石井様のような理系の専門家の方に「特別な作品」と感じていただいたことは、とても嬉しく励みになりました。
真剣に作品と向き合いながらご購入いただいたこと、そして今も作品から「力」を汲み取っていただき、深く感謝しております。
これからも、そんな作品が生み出せるよう頑張りたいと思います。ありがとうございました。