アート作品の購入にはいろいろなエピソードが詰まっています。お気に入りの作家との出会いや、作品を購入するきっかけとなった出来事、また作品が届いてからの想いなど。今回は作家・谷川千佳の作品をご購入されたtekoyuさまのエピソードをご紹介します。
tekoyu 38歳・男性・兵庫県神戸市在住 |
谷川千佳さんの作品を初めて見たのはART KYOTO 2012 (ホテルモントレ・京都)での展示でした。初めの印象は幻想的で不安定な雰囲気を感じ、すっきりしない不思議な心地がしました。当時は購入までは検討しなかったのですが、何故かずっと不思議な気持ちが引っかかっていたので、作品をずっとフォローしていました。
それから2,3年たつと、 幻想的な雰囲気は残しつつ、パステルカラーによる優美な作風へと変化したように思います。
「かみさまのなかにいる」谷川千佳, 41 x 53 cm
本作品はパステルカラーを用いる作風へと変化した後の作品で、2017年に発表されました。
中心に少女が描かれ、風景と少女が溶け込み、色のグラデーションが繊細で美しさを感じます。わたしは少女漫画の巻頭カラーの美しさが抽象的に切り取られて、物語がその絵だけで独立して存在するように感じました。どこかわからない場所で、湖のほとりにいる少女と幻想的な風景、山から続く絵本から出てきたような丸みがある不思議な湖、背景の太陽の明るさと山々の荘厳さがとても美しく見えて想像が膨らみます。
実はこれは谷川さんの故郷、立山とみくりが池ということですが、現実にある場所でも抽象的な印象になっていて、どこにでもないように感じます。これはわたしにとって大事なことで、鑑賞するうえで飽きが来ない、感情の持ちようで様々な見え方をしてくれると期待できるからです。
購入に際しては、はじめての高額なアート購入だったので後悔しないか大変迷いがあり、実物をみていない状況だったのですが、思い切って購入ボタンを押しました。そして実物を観たら心配はなくなりました。色の複雑さや繊細さは目を見張り、特に太陽の明るさに感動しました。 絵の大きさも手元にあるのとインターネットで観るのとは違い、迫力がありました。
額装については、こどもがいるため鑑賞と保護が共にできるよう検討し、神戸のFLYING FRAMESさんで、アクリルによる額装をオーダしました。この絵は側面にも色があるため、側面を見せるのにも効果的という考えもありました。また、家の壁が白のため下地の色は白にして、色の淡さを邪魔しないようにし、明るい印象となるようにしました。
玄関に飾り、これからいつも迎えてくれる絵となりました。
谷川千佳 Chika Tanikawa 作品ページはこちら |
この度は作品をご購入いただき誠にありがとうございます。
作品と出会うまでの経緯、素敵な額装、玄関に飾っていただいている様子を拝見し大変感動しました。
『かみさまのなかにいる』は構想から完成まで丁寧に時間をかけて制作したことを今でもよく覚えています。「故郷」を描くということは私にとって重要なテーマであり、それらのもつ儚さや強さに魅了され、これまでも繰り返し作品に取り入れてきました。その中でも立山の風景は特別なモチーフのひとつです。
購入のエピソードから作品を大切に鑑賞していただいていることが伝わってきて、この作品を描き上げることができたことを改めて嬉しく感じました。
どうもありがとうございました!