“GLOBAL NEW ART”世界を一望できるコレクション
世界各国の現代アート作品130点以上を収蔵する「タグチ・アートコレクション」。そのオーナーである田口弘氏は、機械部品の専門商社ミスミを東 証一部上場企業へと育て上げた後、2002年にベンチャー事業を創造する株式会社エムアウトを設立した。「世の中が求めているサービスを、消費者の視点か ら生み出す」=「マーケットアウト」という独自の理念に基づき、数々の事業を成功へと導いてきた、まさに経営の達人だ。
「GLOBAL NEW ART」をテーマに、世界のアートシーンが一望できるコレクションをめざしているタグチ・アートコレクション。現在も、各国で最も注目されている作家の作 品を徐々に加えながら、そのスケールを拡大し続けている。最近では、インドのSubodh GuptaやフィリピンのRodel Tapayaなど、近年、特に注目を集めている新興国の作家の作品を購入したばかりだという。
また、「後にコレクションを振り返った時、有名作家の代表作が全て収まっているようなコレクションにしたい」と田口氏本人が語るように、個人コレクショ ンには珍しく大作が中心である。最大のものでは、Marina Kapposの約14mに及ぶ平面作品、日本人作家では7mにも及ぶ会田誠の「灰色の山」や、6mを超える鴻池朋子の「第2章巨人」などがある。コレク ションの一部は、海外の展覧会にも出品されるほど人気が高く、田口氏のコレクションに対する明確なビジョンは、確実に現実のものとなっている。
多くのコレクターが、私的な楽しみとしてコレクションしているのに対し、田口氏は、多くの人に見て楽しんでもらえることを意識して作品を収集していると いう。個人的な趣味趣向というよりも、マーケットのニーズを視野に入れた、まさに「マーケットアウト」の理念が息づいたコレクションでもあるのだ。