「グラフィックを中心にビジュアルデザインのフリーランスになって、本物の上質なアートを近くに置くことで自分の目や感性を鍛えたいと思い、アートの購入を始めました。
最初に買ったのは95年で25〜26歳の時。アンディ・ウォーホルの「サムという名の猫」というアーティストブックをバラしたもので、リトグラフに手彩の作品です。以降、影響を受けた憧れのアーティストの作品を、手に入る範囲で購入し始めました。ピカソやマティスなどの近代アートを経て、ウォーホルやヘリング、メイプルソープ、シャーマンなどの現代アート、横尾や荒木などの日本のアートへ変遷していきました。日本の若いアーティストは99年くらいからで、奈良美智や村上隆のドローイング等、その時代性を強く感じた作品を購入しています。アートの購入は仕事上の感性を磨くのに役に立っています。買うことによって、その作家や作品の時代背景を調べるようになり、アートを通して社会や歴史を知ることができます。アートを通して世の中の流れや変化をつかみ、私自身のアートワークや仕事でのデザインワークやコンセプトワークに生きています。
購入後、自分の中で消化してしまった作品の一部は売却し、新しいものを買うようにしていますが、作品を売ることをあまり良しとしないギャラリストもいます。転売目的は私も否定しますが、買いやすく売りやすい健全なマーケットを作ることは、市場活性化につながると思っています。また、アートマーケットは欧米で創られたルールですが、日本のアートをいかに世界標準化するかも重要だと思っています。
日本を文化大国にしたいというのが私の夢であり、そのためにアートをずっと応援していきます。家の中で普通に良質なアートを飾る文化にしたいですね。