「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」「瀬戸内国際芸術祭」。ギャラリーという枠を超え、様々なアートプロジェクトを手掛けてきたアートフロントギャラリー。ギャラリー企画担当、近藤俊郎氏が語る場所とアートの関係性とは。
たとえアートフロントギャラリーという名を知らなかったとしても、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」といえば誰もが知っているだろう。新潟の小さな町を舞台に繰り広げられるアートの祭典。町おこしのモデルケースとしても注 目を集めるこのアートイベントを仕掛けたのが、アートフロントギャラリーだ。空間・場所づくりをコンセプトに、ギャラリーでの企画展示だけでなく、パブ リックアートやホテル、さらに大小様々なアートプロジェクトまで、あらゆる場所のコーディネートを30年にわたり手掛けてきた。そんなギャラリーの枠を超 えた活動に対し、2007年より企画ギャラリーの運営に関わってきた近藤氏は、「作家と共に場所を創る仕事」と語る。これまで仕事をしてきた作家は延べ、 数千人にも及ぶという。
瀬戸内国際芸術祭以来、アートフロントギャラリーと仕事をしてきた大巻伸嗣氏は、ギャラリーの魅力についてこう語る。「建築や町を舞台にしたプロジェク トを長年手掛けているので、場所性を考えた上で、作品をどう見せるかという落としどころを知っている。さらに、そこに人がどう関わってくるかを含め、あら ゆる視点からアドバイスをしてくれる。」ギャラリースペースを飛び出しての展示は、作家にとっても刺激的な経験となっているようだ。作家が何を考えながら 作品を制作しているのか。作品の魅力を最大限に引き出すため、作品制作にも自ら参加するという近藤氏。徹底した現場主義が、実例のない壮大なプロジェクト も成功に導いてきたのだろう。
「アートが加わることで、場所は発信力を持つ特別な場に生まれ変わる。見せる場所を増やしていくことで、日頃、美術館に行かない人でもアートと接する機 会を増やしたい。」社会とつながり、いかにアートを広めていくか。ギャラリーの挑戦はまだまだ続く。もしかすると、アートフロントギャラリーが作家ととも に創り上げた空間に、私たちは知らぬ間に身をおいているかもしれない。そんな日常の楽しみが、あらゆる場所へ広がっていくことを期待したい。
アン・ハミルトン《Air for Everyone》|2012年 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ 写真:中村修
ART FRONT GALLERY
http://artfrontgallery.com
東京都渋谷区猿楽町 29 –18 ヒルサイドテラス A棟
T. 03–3476–4869
[展覧会情報]
大巻伸嗣: constellation – traces in memories-
2月22日[金]– 3月10日[日]
11:00–19:00(月休) アートフロントギャラリー(代官山)