2020年9月11日より開催の「TAGBOAT×百段階段」展の会場となるのは、昭和10年の面影を残すホテル雅叙園東京の木造建築「百段階段」です。99段の階段廊下で結ばれた7つの部屋はそれぞれ趣向が異なり、各部屋の天井や欄間には、当時屈指の画家や大工によって創り上げた美の世界が広がっています。
黒漆の螺鈿細工が重厚な部屋「十畝の間」で一際大きく存在感を放つのは、タグボート作家・塩見真由による彫刻作品です。今回は本展における作品制作について、作家ご本人にお話を伺いました。
百段階段「十畝の間」展示風景
塩見真由Mayu Shiomi作品ページはこちら |
「プレイ 〜つくること、あそぶこと、そしていのること〜」(Maria, Pigeon)
本作の制作のきっかけは何でしたか?
2019年に開催された岡山県のギャラリーから展覧会のお誘いをいただいたのが制作のきっかけです。「その土地に作品を置くということ」という試みからアイデアを練りました。
作品のモチーフについて教えてください。
2018年岡山県では水害による甚大な被害があり、ほんの僅かでも岡山の人々に寄り添えるようなものをと、岡山県の宝物である名画、大原美術館所蔵、エル・グレコの「受胎告知」をモチーフにしました。2017年に制作したロダンの「考える人」をモチーフにしている作品の発展型でもあります。
「プレイ 〜つくること、あそぶこと、そしていのること〜(Maria)」¥1,188,000-
作品に使っている材料は何ですか?
たくさんの人から譲ってもらった古着のジーンズ、気泡緩衝材(梱包に使うシート、通称プチプチ)、ガムテープです。
ジーンズ、気泡緩衝材を使う理由はどうしてですか?
多くの人が共感できるような素材だと思えたからです。ジーンズは性別年齢国籍職業問わずみんなにとって平等なもの、元々は作業着であったものがビンテージであると大変高価であったり、色落ちやシワによりオートクチュールとなる面白い側面を持ちます。そして何よりかっこいいこと。
気泡緩衝材やガムテープは、大切なものを包む梱包材を素材にしていること、内側と外側の逆転の発想によるものです。
「プレイ 〜つくること、あそぶこと、そしていのること〜(Pigeon)」¥308,000-
最後に、今回の展示はどこに注目して観てもらいたいですか?
多くの人にリアリティのある素材を使って、聖なる存在が今をみている姿を表現しています。名画を彫刻に置き換えることは難しく、とびきりの存在感に注目してマトリョーシカのように形を大きく変形させています。そのゴロンとしたひとつながりの形のように、重要な文化財という場所で、鑑賞者、アーティスト、多くの人々が繋がれたらいいなと思います。
百段階段展示風景
展覧会名: | 「TAGBOAT×百段階段」展 ~文化財と出会う現代アート~ |
開催期間: | 2020年9月11日(金)~10月11日(日) |
開催時間: | 日~木曜日・祝日 10:00~17:00 金・土・祝前日 10:00~20:00 ※入場は閉館の30分前まで |
入場料: | 当日¥1,600/前売¥1,500 ※9月10日まで公式オンラインチケットにて販売 学生¥500 ※要学生証呈示、未就学児無料 |
会場: | ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財「百段階段」 |
主催: | 株式会社タグボート・ホテル雅叙園東京 |
販売窓口: | ホテル雅叙園東京(当日のみ)、公式オンラインチケット |