アート作品の購入にはいろいろなエピソードが詰まっています。お気に入りの作家との出会いや、作品を購入するきっかけとなった出来事、また作品が届いてからの想いなど。今回はタグボート取扱い作家・伊藤咲穂の作品をご購入されたKTさまのエピソードをご紹介します。
KT 45歳・男性・兵庫県在住 |
小規模な個人店を営んでおります。
今年に入り不安な状況が続く中、少し環境を変えて来店される方に落ち着いて頂ける空間を作ろうと思い、以前から考えていたアートの購入に踏み切ろうと、私みたいな知識も乏しいアート初心者にも優しそうなタグボート様で色々と調べておりました。
掲載されている情報を参考にさせて頂き、多種多様なアーティストさんの魅力的な作品に悩みに悩まされる中、あるページに目を奪われました。
そこには巨大で煌びやかな作品が映し出され、そこで“錆和紙”とアーティストの“伊藤咲穂”さんを知りました。私自身、古道具など経年変化を感じる物が好きです。“錆和紙”に興味が出たのもありますが、伊藤さんの考え方などにも感銘を受け、作品を所有したいという思いが強くなり2014年に製作された『ゆれる』を購入させて頂きました。
ダリアをモチーフにした“Dead flowersシリーズ”の初期作だそうで、私が言うのもなんですが、色の配色と少し抽象的な雰囲気に加えダリアの部分が侵食してきそうな感じが個人的に好みです。
当然の事なのですが、実物はさらに良い!です。この錆び感!惚れ惚れしてしまいます。
そこまで大きい作品ではないですが、飾ってみると存在感がかなりありながら、上手く空間に調和してくれます。来店された方に「この絵良いですね」と言われると自分の作品でもないのに誇らしげになりますね(笑)アートの必要性を、つくづく感じさせられました。
素晴らしい作品に出合わせて頂けたタグボート様に感謝し、SNSを通じて、御礼のDMを送って頂いた、お人柄も素晴らしい伊藤さんのさらなるご活躍を楽しみにしております!
伊藤咲穂 Sakuho Ito 作品ページはこちら |
この度は、ご購入いただきありがとうございます。
そして、作品とのエピソード、とても嬉しいです。
この「ゆれる」という作品、実は新型コロナウイルスの第一波の真っ只中。自粛ムード全開、生活品買い占め、マスク欠品等で不安な情勢の中、購入いただいたものです。
わたくし自身、予定していた展示やプロジェクトが次々と中止、延期になるなか、ふとSNSを見ていたら、購入された方が作品を飾った様子をUPされていて、、、
それをみたとき、「こんな大変な状況のなかでも芸術を愛してくれている人がいる」
「必要としてくれる人がいる」その事実に言いようのない力をもらったんです。
だから、今できる活動をしようと、気持ちが広がり今までやったことのない、新しい取り組みも生まれました。
「アーティストは必要不可欠であるだけでなく、生命維持に必要なのだ」
この言葉はアートの世界でかなり話題になり、日本のアーティストには深く響いたのではないかと思います。
確かにアートは購入者にとって「資産」としての顔も持ちますが、本来は個々が感じるアイデンティティ、感性を深めていく行為でもあると思っています。ですから、そういう意味でも、この方がおっしゃるように、この作品は、既にこの方の「作品」でもあり、作品もまた、この方の感性の一部でできているようなものです。
その土壌が、大きく深く広がっていくように、私自身も表現を深め、探求して行きたいと思います。
ありがとうございました。