制作工程を種明かしする「How to Make」インタビュー。今回はタグボート取扱いアーティストの柳早苗さんにお話を伺いました。
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今回ご紹介いただく作品は何ですか?
タイトル:ドゥミリューヌ /Half moon
シリーズ:”Au fil du temps (オ ・フィル・ドゥ・タン)/ときを縫う”
木と紐を使って、時のつながり、世代を超えて受け継がれることを表現しています。
壁に直接設置する作品です。
この作品はどこに注目して観てもらいたいですか?
私は木を紐で縫っています。
木の中に、沢山の紐が交差している点です。成長した木には年輪があります。それを縫うことは、紐が時空を行ったり来たり旅をしていることです。見えている縫い跡は、旅の記録です。
中に沢山の紐が交差しています。
木の中を通っている見えていない交差する紐を想像することは、時空を旅している気分の様です。
穴から紐が出入りしています。
木をチェーンソーで切ることは男性的な行為、裁縫の様に縫うことはで女性的な行為、この両面性にも注目してほしいです。
作品に使っている材料は何ですか?
リリアンの糸で縫っています。
メーカーによって、微妙に色や太さが違います。木肌の感じで使い分けする時もあります。
その材料で気に入っている点は何ですか?
人造絹糸(レーヨン)のリリアンの糸には、艶があり、自然素材のそのままの木肌と相性が良いです。
リリアンは、子供の頃、駄菓子屋などで手に入れ、編み機でひたすら紐を編んでいました。どの女性も懐かしく思うアイテムで、女性が集まるとリリアンの想い出話しが始まります。このことからもリリアンは、時空を超える素材の様です。
作品に使っている道具は何ですか?
マキタの電動チェーンソー、RYOBIのインパクトを主に使います。他にBOSCHのマイクロソーが凄く使い勝手良く、気に入っています。今、ZENOAHの軽量の小型エンジンチェーンソーが欲しいです。
最近よく使っている電動工具です。右奥のマイクロソーがお勧めです。
制作工程の中でこだわっていることはありますか?
まず、木を電動工具で切断したり、穴を開けたりしています。
アトリエに積まれている木たちです。
その後、縫う作業になります。その作業は、とても対照的です。前半は男性的で後半は女性的です。私は、この作品制作工程を大切にしています。なので、作業を切り替える際には、アトリエにとっ散らかった木屑や油などをきれいに掃除します。
木を並べて構成を考えたり、イメージを膨らませます。
そして、机に紐、針、ハサミを並べ「さあ、縫いましょう。」と縫い始めます。
今後はどのような制作・活動に取り組んでいきたいですか?
庭には、結構たくさんの丸太や木が横たわっています。その木を縫い続け、どんどん再生していきたいです。それを進める為に必要な道具についても新しく探し出していかなければと考え中です。
庭に横たわっている木たちです。
外出自粛期間を終えて、変化したことはありますか?
期間中、私は久しぶりに木彫を彫っていました。小さいノミと彫刻刀を選びでコツコツと彫っていました。これが完成した時には、この未知のウイルスとの戦いが終息していることを願って制作しました。彫刻は完成しました。しかし、事態は終わっていません。
なので、2作目を作り続けています。
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