制作工程を種明かしする「How to Make」インタビュー。今回はタグボート取扱いアーティストのJunKjapunkさんにお話を伺いました。
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今年完成した「E6」の制作工程をご紹介いたします。
この作品の制作は2015年秋頃出先での退屈しのぎに突如始まったものの、すぐさま別の計画がスタートしたため長らく放置されていた物です。
これが’19年の暮れになってやっと動き出すのですが…元々が突発的ゆえ構想はあまり練り込まれておらず、完成作では構図が大幅修正となりました。
派生元となった連作「ある幻想の未来」は、’07年から’14年にかけて画集化を前提にしたプロジェクトで、’90年代の「東京 FOR TOKYO」等とは違い、実在の風景・街角を描きました。
本当を申せば実在しない風景の方が避けたいモチーフを描かずに済む点で制作上はイージーなのです。しかし実在する風景なら普段見慣れた人にとって特別な意味を持ってきます。絵に時間はありませんが、時間の経過を感じさせる事はできる。それ故シリーズ中では敢えてメディア等で既視感のある構図を多用したのです。
4年間放置されていた「E6」。勢いで始めた構図が気に入らない。
当初計画では想定ロケーションは日暮里でしたが、完成作では上野トンネルの反対側、秋葉原のトンネル入り口付近に変更しております。構図は’12年の「N700」と対照になる様改められ至近で捉えた様な構図となった訳ですが、もちろん線路に入り込んだわけではありません。基本的に全て目測で描いていますが、パースがきつい背後の幅広のビルのみBlenderで3Dモデルを起こしています。
Blenderでモデルを起こす。3DCGは「P.A.T.」でも利用している。
こんにちの目で納得行く様に直す。殆ど塗り潰して描き直し。
また秋葉原といえば07年の拙作「Navel of Akiba」(’07年)がありましたが、今作と時間的連続感を感じられる空模様としています。
今作は新しいけど着手自体は古い作品で、「ある幻想の未来」の方向性を強く受け継いでいます。こんにちの目で見れば仮想世界の構築に厳格過ぎた嫌いがあり、また東京という街自体なまじ良く知っている事が現実感の偏重に拍車を掛けました。これに対する今の自分の答えは「P.A.T.」とその後継作をご覧頂きたい所です。
2010年の「N700」と。対照になる様に狙った構図。
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