アート作品の購入にはいろいろなエピソードが詰まっています。お気に入りの作家との出会いや、作品を購入するきっかけとなった出来事、また作品が届いてからの想いなど。今回はタグボート取扱い作家・橋本ユタカの作品をご購入されたやまだじろうさまのエピソードをご紹介します。
やまだじろう 30代・男性・東京都在住 |
購入作品
タイトル:『無のための習作(私の規則に従う反復運動)』作家:橋本ユタカ
2020年に購入
私の自宅に飾ってあるアート作品はインテリア映えも気にしてることから抽象的なものが多いです。というのも、アートがあまり主張しないようにしているからです。逆に主張が強いアートは部屋に飾ることなく、コレクションとして箱の中で保管しています。
今回、橋本ユタカさんの作品については、渋谷のヒカリエで開催されていたタグボートアワードで展示されていた作品を見ていたときから気になっていました。展示会場では30点以上の作品がある中で、他にはない彼のもつ独特の「ストリート感」が印象深かったのですが、そのときは、公募展の持つ雰囲気に押されて購入には踏み切りませんでした。でもおそらくどこかで、その時に買わなかったことを後悔していた自分がいました。
今年3月初旬に拝見したタグボートアワードから時が過ぎ、彼の作品を再び見ることになったのは5月20日のタグボートから配信されたメルマガでした。ほとんど彼の名前は忘れていましたが、メルマガを上からスクロールするうちに最後のほうに出てくる彼の作品に手が止まりました。
木製パネルの上から何度も何度も描き加えられたモチーフの少年は、手の反復運動で塗り重ねられていました。漫画っぽいようで、それで且つ落書きのようなグラフィティーアートの要素も持っている彼の作品をウェブ上で見ていくうちにどうしても欲しくなりました。それでも初日はどれにしようか迷っていたのですが、そうこうしているうちに彼の作品が画面上でSOLD OUT表示が一気に付くようになったのです。焦りもあったのか、背中を押されるような感じで彼の作品をクリックして購入しました。
それから数日後。実際に彼の作品が自宅に届いて箱に開けたのですが、やはりアート作品を箱から出すときの瞬間はApple製品を箱から取り出すときの緊張感によく似ています。イメージしていたものとの差を確かめるような感じです。
実際にホンモノを手にしてみましたが、橋本ユタカさんの作品のもつ温もりを感じることになりました。画像だけでは伝わらない感触と雰囲気を感じるのが購入者の醍醐味だと思います。
リビングに飾ってみましたが、モノトーンなのでほかのインテリアを邪魔することなくしっくりきています。シンプルだけども、ちょっとヤンチャなイメージが彼の作風の面白いところです。ドローイングのようでペインティング。そういう違和感も心地よいです。
彼の年齢をあとで調べたところ、思ったより年齢も上で自分自身とも近いことで親近感も感じました。これからどのような作品を作っていくかも楽しみだし、今後は作家が話す内容も聞いてみたいと思います。
橋本ユタカYutaka Hashimoto |
この度はご購入いただき、ありがとうございます。
TAGBOAT AWARDの際にも見て頂いていたこと、また、その後TAGBOAT WEBサイトでこのようなメッセージを頂けたことも嬉しく思います。
「無のための習作」シリーズは2019年より制作しており、小作品は今回初めての発表となりました。
わかるようでわからない、そんな作品を作ることで、人間の感情を一時的にストップさせ、その瞬間「人が意思を持たない生命に戻る瞬間を作り出す」ということをテーマに、実験・立証的に描いた作品です。
見ていただき、何とも言えずわからないけど飾っていて邪魔もしないというのは、作品の目的に近づくことが出来たのではと考えます。
これからも作品発表を続けていきますので、また機会がありましたらご覧いただけたらと思います。
ありがとうございました。