制作工程を種明かしする「How to Make」インタビュー。今回はタグボート取扱いアーティストのオオタキヨオさんにお話を伺いました。
オオタキヨオKiyoo Ota |
今回ご紹介いただく作品について教えてください。
「Existence」シリーズです。
このシリーズは、哲学における存在論をテーマにしていて、三次元グリッドの中に存在しないものを”くり抜く”ことで存在させるという作品です。
存在するものと存在しないもの、ゲシュタルト心理学でいう図と地という4つの象限を、鑑賞しながら行き来する事で、世の中に蔓延る、自分と他人、正義と悪、敵と味方といった二元論に対して何か気づくきっかけになればと思い作りました。
制作現場はどのような場所ですか?
大好きな海と橋が見えるアトリエで制作しています。
どのような手順で制作していますか?
ふとした瞬間にアイディアが閃くタイミングがあり、それをメモしてスケッチをしてネタ帳を貯めています。
そのネタ帳をもとに、3DCG空間において彫刻します。
うまく彫刻出来たら、3Dプリンターを使って現実の形にします。
現実には、思った形と異なっていたり、力学的な計算が合わなくて崩れてしまったり、何度もやり直しをする事も多いです。
3Dプリンターは、最先端の非常に高価なものを使用していて、国内外のテクノロジー企業に委託しています。
その後、3Dプリントされたモノを丁寧に磨き上げ、金属を塗り、ウレタンコーティングし、アクリルで塗って完成です。
3DCGを使った作品を制作するきっかけは何でしたか?
大学で建築を学んでいた事もあり、もともと3DCGに馴染みがありました。
大学院で知的財産やイノベーション等のテクノロジーマネジメントを専攻していた事もあり、最先端の技術に興味があって3Dプリンターの黎明期から使っていました。
今回の作品の様な、内側から”彫る”という行為は通常の彫刻では不可能で、自分の考えたカタチを作るのに最適な制作方法だと思います。
制作にかかる時間はどれくらいですか?
アイディアが閃くと、集中力が高まり、試作3DCGを作るまでは半日から一日で仕上げます。
そこからが大変で、やり直しを重ね、最後の仕上げの磨きや塗装には1週間から1ヶ月くらいかかります。
今後はどのような制作・活動に取り組んでいきたいですか?
最近は色々なアイディアが閃いていて、制作のペースが上がっています。
作品のテーマの一つとして、鑑賞者が体験することで完成する、鑑賞者と制作者の共同作業による体験型アートと考えており、ひとつでも多くの作品を体験して頂きたいです。
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