Taipei Dangdai (台北當代)は今年から始まった新しいアートフェア。
世界のリーディングギャラリー、アジアのトップギャラリーを中心に90のギャラリーが出展しています。
アートバーゼルの前身であったART HKのエグゼクティブディレクター、マグナス・レンフリューによるプロデュースです。
第一回目の開催のため、アートバーゼル香港と比べると小規模なものの、作品の質は高く、見応えがある内容です。
ART HKもアートバーゼル香港に変わった今では大規模ですが、第1回はTaipei Dangdaiと同じ規模から拡大していきました。
特にメインのブースではメガギャラリーが顔を揃えており、台湾に国際的なアートフェアのルールを持ち込むには充分のスタートです。
メガギャラリーで扱っているアーティストは若手でも質が高く、売り上げも好調のようでした。
台湾では日本のアート人気が根強く、今回も日本からのギャラリーが数多く出展していました。
現在も台湾にはアート台北というアジアで最も歴史のあるアートフェアがありますが、ここ最近はややローカル色が強くなっていました。
日本でも最も規模が大きいアートフェアとしてアートフェア東京がありますが、古美術や近代絵画の画廊も多く、コンテンポラリーに特化していないややローカル色の強いアートフェアとなっています。
コンテンポラリーアート市場の今を見るのであれば、こちらもアート台北と同じくグローバリズムとはやや隔たりが見えるようです。
香港、上海と、国際的アートフェアのやり方にならっている中国ではアートマーケットが順調に拡大していますが、
台湾でもその体制が必要だったようです。このままでは遅れを取ってしまうので、ローカリズムを駆逐し、グローバリズムへ向かう傾向が、台湾でも世界に追いつこうという動きとして表れているのかもしれません。
Taipei Dangdaiの開催と同じ時期に飛び込んできたニュースとして、アートステージシンガポールが、開催直前の一週間前に中止することを出展ギャラリーに通達するという事件がありました。
これまで回を追うごとに出展者数が減少していたことで、運営が立ち行かなくなっていったのかもしれません。
アートバーゼルを主催していたオーガナイザーのロレンツォ・ルドルフがアートステージをプロデュースしていましたが、アジアでのローカリズムにこだわったことがフェアの発展をさえぎった可能性があります。
バーゼルと同じスイスのMCHグループが手掛け、同じくシンガポールで開催されるアートSGに人気が集まったことも理由の一つとして考えられます。
コレクションをこれから始めるという方には、やはり手始めに見るにはアートバーゼル香港やTaipei Dangdaiをお勧めします。