タグボート取り扱いアーティストの皆さんに、インタビューに答えていただきました。
作品制作にまつわるあれこれや、普段は聞けないようなお話などが満載です。
毎週更新していきますので、ぜひぜひご覧ください!
「Garden of Eden」2019年制作。P50号(80.3cm×116.7cm)
小さいころから絵を描くのが好きでしたか?
絵よりも映画が好きでした。母親が映画をよく観る人だったので観たい映画があればよく連れて行ってもらいました。あと親父はSFが好きで小4の頃にスターウォーズ:エピーソード1を一緒に観に行った後はかなり影響を受けました。そのあと100ページもあるノートを買ってきて自分で考えたスターウォーズの世界を描きました。
「さよならと去りゆく都市」2018年制作。P50号(80.3cm×116.7cm)
美術の道に進むことになったキッカケは?
高校3年の頃に美術系の大学に進学しようかと決めてはいました。具体的に何学科に行くかを考えていた時に建築が好きだった事もあり建築を選びました。本当は芸術系に行きたかったですが絵はいつでも描ける、それよりも実技に強くてかつ建築を学ぶ機会は今しかない。それに親父が建設業という事もあり学費を出す上で説得しやすかった事もあります。
もちろんそれで芸術を諦めるつもりはありませんでした。
在学中から芸術に触れながら建築を学び、修士を出たあとは晴れて作家の道に進みました。
エッシャーの作品からヒントを得た「東京迷宮集合住宅」という作品です。
映画「ミスト」の怪物からのインスピレーションをもとに作った建築です。
初めて作品を発表したのはいつ、どんなときですか?
小学校4年生のジュニアコンクールです。運良く賞に入ったのをきっかけに絵に目覚めました。本格的に発表したのは卒業設計大会の「せんだいデザインリーグ2011」です。
そのときの作品はペンで描いた絵で勝負しました。他の学生は設計が主でした。その中で絵だけということもあり建築の人たちからは話題になりました。
制作する日はどのようなスケジュールで進めていますか?
制作時間は1日3時間〜5時間と決めています。1日かけて描いても集中力が続くのがそれくらいなのと絶対に夜12時になったら制作を終了します。それ以降は眠くなって効率が落ちるで、直ぐに寝ます。展覧会前には作品を2週間前に完成させて展示のレイアウトに入ります。
僕の場合は作品と文章がセットなのでその間で文章を書き上げなくてはいけないので事前に使う情報や本をピックアップして準備を進めます。
作品の制作手順や方法などを教えてください。
iPadのスケッチアプリで描くサイズを決めてラフスケッチを行い、それを元に木パネルに水張りした画用紙に下書きをします。だいたい下書きで全ての構図や細かい部分を決めてペン入れで下書きの線をなぞり、消しゴムで下書き線を消し、テクスチャー作業という線入れをします。次に影入れ、作品によっては雲の描写などがあれば化粧作業というアクリルホワイトで雲の浮遊感を出す作業をやって終わりです。だいたい1枚の制作期間は10号で1ヶ月、30号で3ヶ月、50号で半年かかります。
テクスチャー入れの最中の様子。
現在、力を入れて取り組んでいること
現在は作家をやりながら建築展のキュレーターをフリーでやっています。2015年からアートに特化した建築の企画展で「悪の建築展」という企画を1年に1回開催しています。2020年はいよいよ最終章なのでどのような形で終わらせるかです。それと合わせて建築系に特化した企画展も考えています。あとは現在制作しているシリーズ作品は個展用として描いているので企画展と個展の2つを並行して行っています。
将来の夢、みんなに言いたいこと
現在は「超未来建築」と称した活動を行なっています。
反重力やワープ航法など、現在では到底不可能なテクノロジーを200年後、300年後を見越しながら「建築」というものを使いながら作品制作をしています。
どうして未来なのかというと、現在の世界は実は30年以上前にSFで想像された世界が実現しています。手塚治虫の鉄腕アトムやバック・トゥ・ザ・フューチャーの空飛ぶスケボーなど。これらを見た人たちが「いつかこんなのを作りたい」と思い、科学者や技術者を志した人たちは多いと思います。創作する側がはるか先の未来を表現することで人はそこに憧れを抱き向かっていく。作家とは未来への可能性を示す言わば伝達者でありメッセンジャーであると思います。200年後、300年後は今はまだSFでも人が想像したモノは大体実現しています。そして僕には科学的な数式や技術はないです。ただ僕には「想像」がある。この想像を持って科学に貢献したいです。
「西の連邦首都ニコラヴエナ」2017年制作。P30号(65.1cm×90.9cm)
「太陽、月、世界のつくりかた」2014年制作。M50号(162cm×130.3cm)
姉咲たくみドキュメンタリー「超未来建築」
長岡造形大学大学院造形研究科修士課程建築学領域を2013年に修了。
在学中から非主流建築(Fringe architecture)を専攻。その一方で独学でペン画を学び、2013年に超未来建築研究スタジオ ANOMaRY Studioを設立。超未来建築の形態と物語についての制作と研究を行っている。
現在、新潟を拠点に東京、海外で活動している。
【個展】
2017年 反重力建築展 個展(アートコンプレックスセンター)
【企画展】
2015年 悪の建築展(サイト青山)
2016年 悪の建築展 第2章:咆哮(サイト青山)
2017年 悪の建築展 第3章:俯瞰(サイト青山)
【出展歴】
2011年 せんだいデザインリーグ
2012年 第三回建築コンクール
2013年 ジャパンサブカルチャー‐日本亜文化 (台湾)
2014年 SQUARE展 (ニューヨークSPACEWOMb Gallery)
2015年 MOVE展 in 上海 (M50 莫干山路50号)
第20回 日本の美術 全国作家選抜展 (上野の森美術館)
第20回 日本の美術受賞者展 (Royal Opera Arcade (ROA) Gallery ロンドン)
シェル美術賞2015(国立新美術館)
2016年 Flap! Asian Art Selection in Hongkong(香港)
第12回 世界絵画大賞展(東京都現代美術館)
2017年 三ヶ国合同展覧会『美の起源』(アーツ千代田3331)
【受賞歴】
2011年 関東甲信越建築学生連合Knot! 入賞
2012年 第三回建築コンクール 佳作
2015年 第20回 日本の美術 全国作家選抜展 人気アーティスト賞受賞
第28回 日本の自然を描く展 上位入選
シェル美術賞2015 入選
2016年 第12回 世界絵画展 入選
HP
http://takumianezaki.wixsite.com/le-kuroe-archiart