
有村佳奈

プロフィール
鹿児島県出身。
女子美術大学デザイン学科卒業。
作品に描かれるのは「ウサギの仮面を被った乙女」たち。
彼女たちが仮面を被る理由は社会とともに変化してきた。描き始めた2018年ごろ、それは「夢の世界」に通じる為のものだったが、SNSがさらに発達した今では仮面はアイコンのように「現代を生きる為の生存戦略」になったという。
仮面を被ってときに愛らしく、ときに強かに映る彼女たちの姿には、どこまでも「今」のリアルが重なっている。
2023年は女優・シンガーとのコラボレーションやコレクター展での展示が実現。
2024年4月にはフランス・パリで初個展「SAKURA」を開催するなど、発表の幅が広がっている。

作品に共通するテーマやコンセプトについて教えてください。
私の作品の根底には『現代を生きる乙女の生と死』というテーマがあります。
ここでいう「乙女」とは、単なる少女像ではなく、現代社会の中で揺れ動きながら生きる存在そのものを指しています
生と死、美しさと不安、強さと脆さといった相反する要素を内包しながら、
「今」という時代にどう向き合うのかを、自分自身の感覚を通して描いています。
絵を描くことは、私にとって「今」を見つめ直す行為でもあります。
今回、「tagboat Art Fair 2026」に出展される作品について教えてください。
「tagboat Art Fair 2026」で発表する作品では、異なるタッチで描かれた複数の乙女たちが、
ひとつの空間の中で共存します。
彼女たちは、まるでアバターを切り替えるかのように、日々の状況や役割に応じて装いを変えていきます。
しかし、その変化し続ける外見の奥には、確かに重なり合う“私”の層が存在しています。
揺らぎながらも分断されない自己の在り方を、絵画空間の中で可視化したいと考えています。

作品を見る人に、「これを感じてもらえたら嬉しい」というポイントがあれば教えてください。
作品のコンセプトや意図を深く理解しようとしなくても構いません。
ただ「かわいい」「なんだか気になる」「少し怖いけれど惹かれる」
といった直感的な感覚を大切にしてほしいと思っています。
その小さな引っかかりが、後になって「なぜ気になったのだろう」と振り返るきっかけになれば嬉しいです。
観る人それぞれの中にある感情や記憶と結びつき、自由に解釈されることを望んでいます。

制作工程や素材について教えてください。
ラフスケッチはiPadで描いています。
構図やイメージを整理するにはデジタルがとても便利です。
しかし最終的な作品はキャンバスにアクリル絵の具で制作しています。
筆を止めずにどんどん進めていきたい私にとって、乾きの早いアクリルは相性の良い素材です。
絵の具を塗り重ねる行為そのものが好きで、「描く」というより「塗る」感覚に近いかもしれません。
絵の具に触れる時間が、自分の制作の核になっています。

ご自身の作品において「色」はどのような役割を持っていますか?
色は、世界を鮮やかに楽しむための重要な要素です。
自分の好きな色を自由に塗ることは、とても解放的で心地よい行為です。
デジタルであればクリックひとつで理想の色を再現できますが、それではどこか物足りなさを感じてしまいます。
パレットに絵の具を出し、少しずつ混ぜながら配色のバランスを探る時間が好きです。
その過程こそが、私にとって色と向き合う大切な時間であり、作品に深みを与えているのだと思います。
描き始めた当初と現在で、自分の中で最も大きく変化した部分は何ですか?
最も大きな変化は、「プロである」という意識を持つようになったことですね。
描き始めた頃は、とにかく発表したい、誰かに見てもらいたいという衝動が先に立っていました。
しかし描き続ける中で、「見せる」という行為の責任や覚悟を強く意識するようになりました。
作品は自分の内面だけで完結するものではなく、他者との関係の中で成立するものだという認識が、
現在の制作姿勢につながっています。

今後の制作において挑戦したいことや意識していきたいことを教えてください。
今後は、絵の世界を立体へと展開してみたいという思いがあります。平面の中に描いている存在を、
より空間的に体験できる形にしてみたいです。
また、個展の際に制作した文章のみの冊子によって、世界観の解像度が高まったという実感がありました。
絵だけにとどまらず、言葉や空間構成など多角的なアプローチで、
より深く伝わる表現に挑戦していきたいと考えています。

10年後、どのようなアーティストでありたいと考えていますか?
10年後の具体的な姿を想像するのは難しいですが、
何よりも「描き続けているアーティスト」でありたいと思っています。
時代は大きく変化していくと思いますが、その時々の「今」に柔軟に向き合い、
自分なりの視点で表現し続けていたいです。
流行や形式に縛られすぎず、それでも社会と断絶しない存在でありたい。
変化を恐れず、しかし自分の核は失わない作家であることが理想です。

4月24日(金)ー26日(日)開催:tagboat Art Fair 2026

「tagboat Art Fair 2026」
会期
2026年4月24日(金)ー26日(日)
詳細日時
・Preview -会場限定販売期間-
4/24 (fri) 16:00 – 20:00
・Public View -オンライン同時販売-
4/25 (sat) 11:00 – 19:00
4/26 (sun) 11:00 – 17:00
※3日間どなたでもご来場可能です
会場
東京都立産業業貿易センター浜松町館 展示場2階
〒105-7501 東京都港区海岸1-7-1 東京ポートシティ竹芝
JR/東京モノレール 浜松町駅(北口)から徒歩5分
ゆりかもめ 竹芝駅から徒歩2分
都営浅草線/都営大江戸線 大門駅から徒歩7分
チケット代
1500 円(会期中再入場可能)
※障害者手帳のご提示でご本人様、付添いの方1名まで無料
※学生証のご提示でご本人様無料
※小学生以下のお子様は無料