
木村美帆
2018年 東京藝術大学絵画科油画専攻 卒業
車と、それを取り巻く非日常の世界を描いています。
車を通し、いろんな世界を冒険したいという思いが、私が作品を作るルーツです。現実ではあり得ない、けれどひょっとしたら何処かに、こんな世界もあるかもしれないと感じていただける作品を目指しています。
作品を作り始めたのはいつ頃ですか? そのきっかけや影響を受けた出来事があれば教えてください。
自分の絵を、作品という形で世間にお披露目したのは、高校生の時の展示会が始まりでした。小さい頃から絵を描くことが好きだったのですが、初めての展示で、作品を他の人に見てもえることで「もっと本気で描きたい!」と思ったことを覚えています。
アーティストを目指すようになったのは、どのような経験や思いがきっかけでしたか?
都内の芸術系高校の油画科に進み、本格的に作品を作るようになりました。そこから、将来も絵を描き続けたいと思うようになりました。中学時代は絵を描いていることに対して、同級生の反応もさまざまで、自信を持って絵を描くことができなかったのですが、「たくさん描きなよ」と励ましてくれる友達もいました。そういう周りの人たちの温かさに救われたので、その人たちにも、いい絵を見てもらいたい、少しでも楽しんでもらいたいと思い、制作を続けています。

高校卒業制作の油彩画
現在の作風に至るまで、どのような試行錯誤を重ねてきましたか?影響を受けたものや、転機となった経験があれば教えてください。
転機になったのは大学に入学した後です。東京藝術大学の油画科に進んでからは、思うような色を作れず悩みました。自分は油絵の具を使いこなせていないと感じ、絵の具について考えるようになりました。そこでアクリル絵の具を使ってみたところ、乾燥時間の短さと、やり直しのしやすさから、リラックスして描けるようになりました。油絵で無理にカラフルに描こうとしていたのが、肩の力を抜いて、より自由に明るい色彩を持つ作品が描けるようになりました。
作品に共通するテーマやコンセプト(アーティストステートメント)について教えてください。
私の作品に共通するテーマは「様々な場所を旅する車」です。私の作品では、世界を広げるツールとして、車を登場させています。現実の世界でも、訪れた場所が自分の世界となり、思い出が積み重なっていきます。それと同じように作品の中でも、車に夢や希望を託し、その旅路でどんな新しい発見が待っているのかを想像しながら制作しています。

大学時代のアクリル画
これまで影響を受けた作家や表現はありますか(絵に限らず、漫画・映画・音楽など)
水戸岡鋭治さんの電車のデザイン画に強く惹かれ、車体の見せ方や色使いを参考にしています。日常の乗り物を、鮮やかな色彩で“特別な空間”に変えてしまう表現に感動しました。私自身の作品でも、色彩や構図を通して「エンターテインメント感」を大切にし、見る人が想像を広げられるような表現につなげていきたいと思っています。
作品のアイデアは、日常のどんな出来事や風景から生まれることが多いですか?
アイディアのきっかけは、思いつきや、浮かんだイメージから膨らませることが多いです。それに合わせて写真を撮ることもあります。例えば、大学の卒業制作では「滝に向かって落下する車を描きたい」と思い、岐阜県まで滝の撮影に出かけました。私の作品では、写真を撮ってもそのまま描写をするわけではないので、想像で描く部分も多いのですが、遠出することは好きなので気まぐれに出かけることがあります。

大学の卒業制作
今回、「アート解放区 人形町」に出展されている作品について教えてください。
今回は新作で『はじまりの森』という作品を出展させていただいてます。こちらもアクリル絵の作品なのですが、今回の試みとして、黒色を使わずに制作しました。車のタイヤ部分には使用しているのですが、それ以外は赤、青、黄、蛍光の黄緑、そして白色を混ぜて色を作っています。黒色を使わないことで彩度を高め、より幻想的な雰囲気を目指しました。

作品を見る人に、「これを感じてもらえたら嬉しい」というポイントがあれば教えてください。
「もしかしたら、世界のどこかに、こんな場所があるかもしれない」そんな想像をしながら見てもらえたら嬉しいです。見てくださる方の心の中に、小さな旅の感覚や、まだ見ぬ風景への憧れが芽生えるような、そんな作品を目指しています。
今後の制作において挑戦したいことや意識したいことはありますか?
これからも、様々な世界観の作品を考えていきたいです。見てくださる方の感情にも寄り添える作品を描けたらと思っています。その上で、空間の奥行きを意識したパース表現にも力を入れ、絵の中に入り込めるような没入感のある作品にも挑戦したいです。技術的な挑戦とともに、世界観の構築を丁寧に積み重ねていくことで、絵の中の物語や余韻を感じてもらえるような作品づくりに取り組んでいきたいです。
1月9日(金)ー1月31日(土)開催:アート解放区人形町「FLUID EDGE」※閉幕いたしました

「FLUID EDGE」
会期
2026年1月9日(金) ~ 2026年1月31日(土)
営業時間
平日:12:00-19:00 土曜日:11:00-19:00
休廊:日月祝
会場
アート解放区 人形町
東京都中央区日本橋人形町3-6-9 SPACE ANNEX 1F, B1F
ARTIST
【1F】木村美帆、山谷菜月、マシューマロー
【B1F】塩見真由、友成哲郎、池伊田リュウ、三塚新司、松森士門