動物型遊具「メロディペット」をモチーフに作品を制作するアーティスト、竹内みか。大阪芸術大学短期大学部を卒業後、広告代理店でグラフィックデザイナーとして勤務。イラストを学ぶ中で、偶然出会ったメロディペットに魅了され、アーティストの道へ進みました。今回のインタビューでは、竹内さんの創作の背景や作品に込めた思いを伺いました。
竹内みか Mika Takeuchi
神戸市在住。
大阪芸術大学短期大学部デザイン美術学科卒業。
広告代理店勤務のグラフィックデザイナーを経て、2010年より制作活動をはじめる。
描かれているのはメロディペットと呼ばれる動物型遊具。遊園地にある乗り物だが、そこに人の姿はない。近年、娯楽の多様化や少子化によって古い遊園地が軒並み閉鎖され、メロディペットも稀少な存在となった。
動物たちの使い古された毛並みや愛嬌のある表情からは、可愛らしさだけでなく、退廃する物の切なさや狂気があり、生きている様な錯覚すらおぼえる。
利便性や経済を優先して発展し続ける現代社会に奇跡的に現存しているメロディペット。昭和の時代に作られ、今も遊園地の片隅でゆっくりと歩く彼らが「消費社会」や「豊かさ」について問いかける。
作品を作り始めたのはいつ頃ですか?きっかけはありましたか?
幼少期から絵を描くことが好きで、目に見えたものを写実的に描くことを繰り返していました。芸大ではグラフィックデザインを専攻。卒業後グラフィックデザイナーとして広告代理店に勤めていた為、アナログで絵を描くことがほとんどありませんでした。仕事にも慣れてきた頃、趣味で通い始めたイラスト教室「絵話塾」でイラストレーターを志すようになり、一念発起で退社しました。
イラストレーターを志していた頃
アーティストを志したきっかけは何でしたか?
メロディペットとの出会いが大きなきっかけでした。それまでイラストレーターを志していましたが、メロディペットをモチーフにしてからいつの間にかアーティストの道を走り出していたといった感じです。活動を続けるなか、賞を頂いたり、作品を購入して頂いたり、応援してくださる方が増え、アーティストとして生きる覚悟が生まれました。
作風が確立するまでの経緯を教えてください。
イラストレーターを志して模索している頃は今とは全く違う作風でした。当時絵話塾というイラスト教室に通っていたのですが、講師の安齋肇さんに作品を見て頂いたところ、全然駄目だと言われて火がつきました。心機一転、カメラを手にしてモチーフを探しに街へ出ました。神戸ハーバーランド・モザイクガーデンの遊園地(現在閉園)の片隅でひっそりと佇むメロディペットに出会い、その哀愁に心奪われました。メロディペットをモチーフにしてからは作品サイズも大きくなり、写実的に描くようになりました。
モザイクガーデンで出会ったメロディペット
作品を発表し始めたのはいつ頃ですか?発表するまでにどういった経緯がありましたか?
絵話塾に通っていた2010年頃から作品を発表しながら模索していました。メロディペットをモチーフに描き始めてからは、2015年東京・TAMBOURIN GALLERYでの個展「センチメンタルパーク」が初めての個展です。東京で手応えを確かめたくて2週間レンタルしましたが、無名なうえ東京の知り合いも少なかったので来場者数はごく僅かでした。
絵話塾(安齋肇さん授業)での成果発表
個展「センチメンタルパーク」2015年@タンバリンギャラリー
アーティストステートメントについて語ってください。
近年、娯楽の多様化や少子化によって古い遊園地が軒並み閉鎖され、メロディペットも希少な存在となりました。動物たちの使い古された毛並みや愛嬌のある表情からは、可愛らしさだけでなく、退廃する物の切なさや狂気があり、生きているような錯覚すらおぼえます。利便性や経済を優先して発展し続ける現代社会に奇跡的に現存しているメロディペット。昭和の時代に作られ、今も遊園地の片隅でゆっくりと歩く彼らが「消費社会」や「豊かさ」について問いかけます。
作品はどのように制作していますか?技法について教えてください。
平面作品は鉛筆と水彩で描いたドローイング、キャンバスにアクリル絵具を使用した絵画が主です。そのほか、メロディペットの“側”を用いたインスタレーション、メロディペットを模したぬいぐるみを制作。着ぐるみを着てパフォーマンスも行なっています。
作品制作で困難な点や苦労する点を教えてください。
作品保管に加えて、所有しているメロディペット2体と20体程の“側”の保管スペースが必要なのが経済的に大変です。制作スペースも4畳半なので大きい絵を描くには限界があり、アトリエの引っ越しを計画しています。
竹内さんが所有しているメロディペット
今後の制作において挑戦したいことや意識していきたいことを教えてください。
なるべく早くフィールドワークの遊園地巡りを完遂したいです。そして油彩や版画等、他の技法も色々と試してみたいと思っています。また、メロディペットを見つけた時のように自分の琴線に触れるモチーフがないか、アンテナを張ってモチーフ探しを続けたいです。
4月18日(金)から開催する「tagboat Art Fair 2025」に出展します!
tagboat Art Fair 2025
〈開催日時〉
2025年4月18日(金)16:00~20:00 ※18日はご招待のお客様のみご入場いただけます
2025年4月19日(土)11:00~19:00
2025年4月20日(日)11:00~17:00
〈会場〉
〒105-7501
東京都港区海岸1-7-1 東京ポートシティ竹芝
東京都立産業貿易センター 浜松町館 2F
〈チケット〉
1500 円(2日間通し券)
※障害者手帳のご提示でご本人様、付添いの方1名まで無料
※学生証のご提示でご本人様無料
※小学生以下のお子様は無料