カネコタカナオは2000年武蔵野美術大学短期大学部美術科卒業し、現在は東京で活動中。
「緩やかなつながり」について漫画や記号・グラフィティなどを組み合わせながら再構成しています。過剰な情報の中で振り回され自分を見失っていく人やSNSなどで見られるような匿名性が持つ凶暴さ、削られて欠けていきながらも保ち続ける形を描いています。
カネコタカナオTakanao Kaneko |
「ram 1」
70x 70 x2.5cm;木製パネル、アクリル、水性ペン
作品を作り始めたのは何歳頃ですか?きっかけはありましたか?
私は30歳頃から作品を作り始めました。仕事では一つの制作物を作るために何人もの確認が必要になりますが、全て自分だけで完結できることをしたかったというのがきっかけです。
同じ時期に作品を発表し始めました。作っていたものがなかなかまとまらず、試しに展示してみようと思った時にSICFがあり、それに間に合わせる形で制作を進めました。
作風が確立するまでの経緯を教えてください。
初めはドローイングだけでした。それを続けて、イメージをコントロールできるようになり、その後色や形といった基本的な絵画要素について考えました。現在の作風は、多重構造など、絵の中に別の要素を加えていく形に発展しています。初期の作品と比べて、表現できる幅を少しずつ増やしていると思います。
キャラクターの着想はどのようにして得られたのでしょうか?また、キャラクターを通じてどのようなメッセージを伝えたいと考えていますか?
キャラクターの着想は、主に80年代から90年代の漫画から大きな影響を受けています。伝えたいメッセージとしては、嘘や欺瞞、勘違いする記憶、捨てたもの、日常の欠片などです。
特に、顔がよく見えないキャラクターはネット上の「匿名性」を象徴で、ネット上で本名を隠したまま悪態を書き散らす人々のイメージを意図しています。このキャラクターを通じて、別人格または誰しもが保つ悪意の側面を表現しています。
「RIF 1」キャンバスボード、木製パネル、アクリル、水性ペン;103x 72.7 x3cm
「Qs 2」キャンバスボード、木製パネル、アクリル、水性ペン;65x 50 x2.5cm
作品はどうやって作っていますか?技法について教えてください。
アクリルやマーカーを使って描画しています。木製パネルとキャンバスボードの間に漫画のページなどを挟み込む手法を取り入れています。
作品にコミックのコラージュを取り入れるスタイル(レイヤー構造)はどのようにして生まれたのでしょうか?
ドラえもんの解剖図がモチーフです。描かれている絵とコラージュは異なる表現ですが、そこに繋がりが感じられるようなイメージで作っています。
「NULL 2」アクリル、キャンバスボード、木製パネル、アクリル版、漫画;45.5 × 45.5 × 4.1cm
アーティストステートメントについて語ってください。
分解と再構築、形の中から別の意味や要素を探す、断片的な物語とそれを繋ぐこと。
「kraken」アクリル、キャンバスボード、木製パネル;103x 72.7 x3cm
「comma 3」キャンバスボード、木製パネル、アクリル、水性ペン;65x 50 x2.5cm
作品制作で困難な点や苦労する点を教えてください。
自宅の環境の問題で大きな音を出せないこと、作品の保管場所がないため、制作を続けるために古い作品を廃棄しなければならない点が困難です。
今後の制作において挑戦したいことや意識していきたいことを教えてください。
今後は大きな作品やミューラルなどに取り組んでみたいと思っています。また、複数の素材を組み合わせたタイプの作品を作りたいです。大きな一枚絵を作るスペースがないため、複数の作品を組み合わせて関係性を感じられるような作品を作りたいです。
今回の3人展「synchronicity」において、どのようなコンセプトで展示プランを構成しましたか?
「ゆるい繋がり」というコンセプトで展示プランを構成しました。ぜひ会場にお越しください。
tagboat Art Fair 2024 展示風景
作家はグループ展「synchronicity」(2024年7月5日(金) ~ 7月27日(土))に出展されます!
カネコタカナオTakanao Kaneko |
1977 埼玉県出身
2000 武蔵野美術大学短期大学部美術科卒業
現在は東京で活動中
2016 「分解ノイズ」 / THE blank GALLERY
2017 「黒ノイズ」 / ART FRONT GALLERY
2020 「How Low?」 / THE blank GALLERY
2020 「TAGBOAT×百段階段 展」 / ホテル雅叙園東京
2021 「Disperse」 / 阪急MEN’S TOKYO タグボート
2022 「Fragment」 / ART FRONT GALLERY
2022 「二次元派展」 / 代官山ヒルサイドフォーラム
2022 「Contour」 / 阪急MEN’S TOKYO タグボート
2023 「SLIDER」 / 金澤水銀窟
「緩やかなつながり」について漫画や記号・グラフィティなどを組み合わせながら再構成しています。
過剰な情報の中で振り回され自分を見失っていく人やSNSなどで見られるような匿名性が持つ凶暴さ、
削られて欠けていきながらも保ち続ける形を描いています。