9月20日(水)から博多阪急で始まる「ART HAKATA by tagboat」では
新登場の作家から現代アートの巨匠まで、タグボート一押しの作家が登場いたします。 会期までの特集では出展作家をPICK UPしてご紹介! どんな作品が展示されるのか、どうぞご期待ください。 |
1999年神奈川県出身。2023年に多摩美術大学絵画科油画専攻を卒業したばかりの新進気鋭のペインター。
オールドマスターを想起させる重厚感のある描画の上に、イラストタッチの線を重ねる手法で描く。
今回の「ART HAKATA」がタグボートでの初めての展示となる。
ARTIST’S MESSAGE
傲慢さや悪を隠そうと必死に取り繕い、仮面を被り、他者の評価ばかりを気にして生きる日々。喧騒の中の葛藤や秘めた感情。けれど、その奥深くには、傷ついても輝く強さが宿っている。
今回の作品は、画面内に2つの異なる空間(意識)を創り出すことで、潜在する傲慢さや自尊心などの感情と、顕在化した陳腐な取り繕いとの葛藤を表現している。2つの対峙する世界を通じて、内なる闘いを写し出した。
私たちは果たして、いくつの仮面をかぶっているのか。考えさせられる。
──秋山あいれ
出展作品(一部)
伝統的な油絵の技法とイラストタッチの描画の交錯により、秋山あいれが描く油彩画からは非常に斬新な印象を受けるに違いありません。
圧倒的な画力が生み出す重厚な画面の上には一見軽やかにも見えるラインが重なり、それらは作品が孕む二層構造を自然と意識させます。作品《マリア》において祈りの姿勢をとる人物の姿は、背景に描かれた人物を簡素化して描いたようにも、聖母に向かい祈念する人物の姿を表しているようにも見えるでしょう。
描かれたイメージをどのように捉えるか。作家が語るように、そこには絵と対峙する我々個々の内面が映し出されるのかもしれません。
アンタカンタ antakanta
東京生まれ、神奈川県在住。本郷高校デザイン科卒業した後、玉川大学文学部芸術学科を卒業。
FACE展では2度の入選を経験し(2020年、2022年)、2023年も夏に2度の個展を開催するなど、精力的に活動中。
「思考が現実になっていくエネルギーの世界」を、マリアカンナと言う名前の空想上の少女を主人公にして描く。
作品はオイルオンキャンバスという古典的な技法で、線を強調した漫画のような人物を描くスタイルが特徴。
ARTIST’S MESSAGE
この作品は、アーティフィシャルヒューマン(Artificial human)という人造人間をコンセプトにした新しい作品のシリーズです。
モチーフである4.5等身の人物は、私が小学生の頃から教科書の隅に描き続けてきたマリアカンナという女の子とアレックスという男の子がモデルになっています。
キャンバスの上に何度も繰り返し描かれたマリアカンナとアレックスは、現代をアイロニカルに表現したアートアイコンです。
──アンタカンタ
出展作品(一部)
アンタカンタが一貫して描く少女「マリアカンナ」は、作家が小学生の頃から教科書の隅に描き続けてきたモチーフです。
常に作家と共にあった少女のイメージは、これまで様々な世界を旅する姿で描かれてきました。
今回「ART HAKATA」では彼女と共に「アレックス」が登場し、人造人間をコンセプトとした新たなシリーズで現代社会に疑問を投げかけます。AIの台頭がより色濃くなる世界で、こちらをじっと見つめる少女と少年の瞳は、未来における我々人間と機械の在り方をそっと示唆するかのようです。
山口 典子 Noriko Yamaguchi
1983年兵庫県出身。2007年に京都市立芸術大学大学院美術科絵画コース油画専攻を修了。
人間のコミュニケーション感覚の変容や、皮膚感覚に基づく作品を制作。
人間の感覚や感情、コミュニケーションのあり方を主題に、アナログとデジタル表現を行き来しつつ、写真、ビデオ、立体、パフォーマンス、ドローイング、マンガ、アニメーションと幅広い表現技法を扱う。
今回の「ART HAKATA」がタグボートでの初めての展示となる。
ARTIST’S MESSAGE
2004年から「KEITAI GIRL」作品を数多く手がけてまいりました。
今回は凹凸印刷ができるUVプリンターを使用し、自身のアート作品のテーマの一つである「視覚から受ける触感」を平面作品でも表現することに成功しました。
この作品の初見せを博多阪急で出来たことがとても光栄に思います。展示に動いてくださった皆様、観に来てくださる皆様に感謝しております。
──山口典子
出展作品(一部)
コミュニケーションの移ろいと視覚・触覚を意識した制作を行う山口典子。
代表作「KEITAI GIRL」シリーズは、そのテーマを追求した真骨頂と言えます。ガラパゴス携帯の装いが郷愁を呼び起こすと同時に、ボタンの凹凸の質感がありありと伝わり、目から入る「触れる」感覚に鑑賞者の気持ちが揺さぶられます。
「ART HAKATA」ではその他に、個性豊かな女性たちを描いたドローイング作品も出展。デジタルとアナログの表現の差異とその面白さにご注目ください。